平成18年 1月1日〜平成18年 1月20日 投句分
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互 選 句
第13回 披 講
1月分俳句の添削と寸評
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若草句会も2年目になりました。発足した昨年はしっかりした足取りで歩んできた
と思います。俳句がうまくなるためには多少汗をかく必要があります。
少し努力しないといけません。今年は今までより目標を高く掲げ、多作に
心がけましょう。今まで10句作っていた人は15句、15句作っていた人は
20句作ることに挑戦してみてください1年後には必ず成果が現れます。
俳句がうまくなるためには多く作って多く捨てることです。
皆さんのご健吟をお祈りします。
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1月分俳句の添削と寸評をします。私の寸評と皆さんの思いと違うことが多々
あると思います。俳句は17音の短詞形ですから、詠み手によって解釈が
変わります。ある選者がいいとした俳句でも別の選者は良くないと言うことも
よくあります。その点ご了承ください。          
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番号         投   句
1 >初夢や若草句会きらきらと  泉
  いい句です。若草句会の輝くようや発展を期待します。頑張りましょう。          
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2 > パソコンの除夜の鐘聴く金閣寺 媛 香
<添削> メール打つ遠くに響く除夜の鐘
  俳句は実感したことを詠むのです。パソコンで除夜の鐘を聴いているということを
  詠んでいるように解釈しましたのでこのようにしてみました。
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3 > 除夜の鐘聞いて年明け床につく 竹 豪
<添削> 除夜の鐘聴いて御神酒をぐいと飲む
  「除夜の鐘」「年明け」は新年の季語です。また原句ですと説明的になります。
  調子も今一つなの添削句のようにしてみました。
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4 > 見慣れたる壁画艶めく初湯かな コスモス
  いい句です。見慣れたる壁画ですが今日はことさら艶めいて見えます。
  元気な証拠です。今年も若い者に負けないように頑張りましょう。
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5 > 肩車凧引く細手高々と 蝋 梅
<添削> 高々と凧揚ぐる肩車の子
  調子がよくないように思いまして添削句のようにしてみました。
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6 冬薔薇小首かしげて咲きにけり 楓 花
  いい句です。冬薔薇は小首をかしげて、今年の幸せを考えているのでしょうか。
  いい年でありますようお祈りします。
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7 家族連れ雪山眺め初湯かな しおかぜ
<添削> 家族連れ霊山眺む初湯かな
  「かな」止めの場合は一気に詠みます。「雪山」は冬の季語、
  「初湯」は新年の季語です。一家団欒で初湯とはうらやましい。お幸せに。
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8 供花にもひともと添へる実千両 楓 花
  いい句です。亡き人が育て愛した実千両を供花に添える、優しい心遣い、
  故人もさぞ喜んでおられることでしょう。
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9 ともしびを消して聴き入る除夜の鐘 千 柳
  いい句です。静かに除夜の鐘を聴きながら一年の幸せを祈る。
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10 年かさね懐旧の情や老の春 石の花
<添削> 懐旧の談義に耽る老の春
  「年かさね」「懐旧の」「老」と、言い過ぎになるので「年かさね」を省略しました。
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11 家族連れ無事にこやかな初詣で 峰 生
<添削> ?手をほどき子供駆け出す初詣
  「無事にこやかな」はどうかなと思いまして、このようにしてみました。
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12 腕腰の抜糸の妻や二日なる 浩 風
<添削> 腕腰の抜糸の妻の二日かな
  「二日なる」を「二日かな」にしてみました。
  大変だったでしょう。しかしお家で正月を迎えられて良かったですよ。
  お大事にしてください。今年はいい年でありますようにお祈りします。
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13 成人の日羽織はかまの闊歩かな まこと
<添削> 成人の日の四五人の闊歩かな
  「成人の日」で切れ、「かな」止めはどうかと思います。
  成人式で若者が闊歩している。暴れることのないようにして、お祝いしたいものです。
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14 初春や同級会の賑やかさ しおかぜ
<添削> 新春の意気壮なるクラス会
  同級会が盛り上がりましたね。元気なのが何よりです。若い者には負けないと
  意気さかん、結構なことです。
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15 去年(こぞ)今年寝巻きのままの屠蘇酒かな 蝋 梅
  「去年今年」「屠蘇」は新年の季語です。「去年今年」の季語は難しいです。
  考えてみてください。
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16 初稽古正座することままならず さつき
  いい句です。生活が洋式になり、正座のできる人が少なくなりましたね。
  しびれを切らさないで寒稽古に励んでください。
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17 パラパラと音たて弾む霰かな いなご
<添削> 霰ふる足下暗き石の橋
  「バラバラ」「音」「弾む」と言い過ぎです。
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18 除夜の鐘よくここまでと酒しみる 峰 生
<添削> 除夜の鐘遠くに響く藷焼酎
  句意が今ひとつ分かりません。悪しからず。?
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19 みどり児の寝息安らか牡丹雪 彰 子
<添削> 安らかに眠る嬰児や小米雪
  調子が今ひとつのように思われるので、添削句のようにしてみました。
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20 門柱のポストに賀状のドサと落つ 蝋 梅
<添削> 年賀状どさっと落つるポストにて
  中八になります。このような句にしてみました。
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21 箒目をたてて迎えるお正月 千 柳
  いい句です。今日は特に丁寧に箒目をたてている。清々しい気持ちでお正月を迎える。
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22 山仕事手を休めたる初音かな まこと
<添削> 山仕事憩ふ初音のすぐそこに
  美しい初音、疲れも吹き飛ぶ。
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23 三が日娘はジーパンで押し通す 千 柳
  いい句です。若い頃は世間体にとらわれない、こういった生き方もいいのではないでしょうか。
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24 落葉焚きそっと手を出し仲間入り 哲 朗
  いい句です。通りすがりの落ち葉焚き、仲間に入れてもらう。そして話が弾む。
  景がよく分かります。
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25 初風呂や湯桶の音の清らかに 哲 朗
  いい句です。初風呂で湯桶の音がいっそう清々しく聞こえ、気分も清々しくなる。
  いいお正月で、幸せに思う。
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26 寺町や迦陵頻伽に初参 楓 花
<添削> はやばやと迦陵頻伽に初詣
  「寺町」「迦陵頻伽」「初参」は言い過ぎです。省略しましょう。
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27 霜の華瑠璃光浴びて凜と立ち さつき
  「霜の華」―「凜と立ち」がよく分かりません。考えてみてください。
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28 水仙や小さき漁港の見える丘 いなご
  いい句です。下灘の水仙ですか。水仙の香に浸りながらの素晴らしい眺め。
  一見の価値あり。
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29 戌年の明くるを待ちて初投句 竹 豪
<添削> パソコンで俳句を送るお正月
  「戌年の明くる」「初投句」は季重ねになりませんか。
  今年もご健吟されますように。
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30 孫を背に石段多き初詣 さつき
  いい句です。初孫でしょうか。背中の孫と話しながら上る。背中に温もりを感じ、
  長い石段も苦にならない。
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31 初春の湯舟で交わすご挨拶 ゆづき
  いい句です。お決まりの挨拶ですが、湯舟で交わすのは特別にいい気分で、
  至福のひととき。今年もいい年でありますように。
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32 受験子の御籤見せ合う初詣 コスモス
<添削> 受験子の御籤見せ合ふ浪の音
  「受験子」は春の季語、「初詣」は新年の季語です。「初詣」を省略しました。
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33 涙した映画の帰り冬の星 そらまめ
<添削> 涙した映画を想ふ冬の星
  原句ですと説明的になります。「帰り」を省略しました。
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34 成人式孫の姿に感無量 菜の花
<添削> 初孫の成人式の晴姿
  俳句は感情の表現は押さえて、物に託して表現します。うまく添削できませんが、
  添削句で祖父母の感慨が想像できると思います。
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35 お年玉貰ってニッコリ孫の顔 菜の花
<添削> お年玉貰って孫のえびす顔
  原句は説明になります。添削句も今ひとつ。孫というだけで可愛いのものなので、
  孫の俳句は余りこのまれません。
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36 クリスマス絶えて久しいプレゼント 哲 朗
  具象生(物)に欠けるように思います。考えてみてください。
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37 ルミナリエ点灯と同時にウオーの声 菜の花
  季語がありません。中九になっています。また説明的です。考えてみてください。
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38 神妙に手を合わせてる受験の子 いなご
<添削> 神妙に手を合わせゐる受験の子
  いい句です。真剣な受験子の様子が伺えます。合格するといいですね。
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39 初日さす霊峰四方に悠然と 峰 生
<添削> 初日さす霊峰凜としてゐたり
  「四方」とは東西南北、前後左右をいいます。したがって「霊峰四方」というのは
  いかがなものでしょう。
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40 水仙の薫り豊かに灘の海  泉
<添削> 水仙の薫り豊かや海の紺
  「灘の海」では通じないと思います。
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41 妻につく介護の玻璃に初日かな 浩 風
<添削> 介護する妻の寝顔や初明り
  私には句意が今ひとつはっきりしませので、添削句のようにしてみました。
  大変ですね。しっかり看病してあげてください。早く全快されるようお祈りします。
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42 初句会心新たに引き締める 石の花
<添削> 初句会少し濃ひめに化粧して
  具象性に欠けます。物に託して詠みましょう。添削句で初句会に臨む心意気が
  感じられると思います。俳句は言い切らないで、余韻を残すようにしましょう。
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43 骨壺を抱き温か冬最中 媛 香
<添削> 骨壺を抱く真冬の碧い空
  「温か」は春の季語、「冬」は冬の季語で季重ねになります。ただし「冬最中」
  という季語があるのでしょうか。
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44 黄泉に母訪れるや年明けて 石の花
<添削> 黄泉に母訪れる初御空
  中八になります、そして具象性に欠けます。添削句のようにしてみました。
  ご愁傷さまです。
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45 鶯のこゑや嬰児の歩み初む 彰 子
  私の句です。孫が庭で歩く稽古をする。少し歩いては拍手を送る。
  鶯も応援しているようにしきりに啼く。
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46 虫蛙身動きもせず寒返し そらまめ
  「寒返し」という季語があるのでしょうか。「虫蛙」が「蛙」のことでしたら、
  春の季語になります。考えてみてください。
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47 嬰(やや)眠る遠山に雪うっすらと 彰 子
  私の句です。むずかっていた嬰がやっと眠る。やれやれと遠くに目をやると、
  皿ヶ峰山系が雪で白くなっている。寒い時期、風邪をひかないように
  元気で育ってほしいと願う。
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48 リハビリのもうすぐ来るぞおらが春 浩 風
<添削> リハビリのもうすぐ来るよ朧月
  大変ですね。お見舞い申し上げます。具象性(物)に欠けます。俳句は自分の思いや
  気持ちを物に託して詠むものです。したがって「おらが春」を「朧月」に
  替えてみました。感じはでるのではないでしょうか。
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49 福引や縁起はじめの招き猫 まこと
<添削> 福引や縁起をかつぐ招き猫
  「縁起をかつぐ」「縁起直し」「縁起がいい」「縁起でもない」とかいいますが、
  私は「縁起はじめ」という言葉を知りません。悪しからず。
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50 新年の願いを込めて万灯会  泉
<添削> 新年の願ひを込めるご灯明
  「新年」は新年の季語、「万灯会」は秋の季語で季重ねになります。
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51 銀天街当たりのくじはしゃぶり飴 竹 豪
  季語がありません。考えてみてください。
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52 初詣幸せ祈る共白髪
<添削> 手を取りて共に白髪や初詣
  「初詣幸せ祈る」少し説明的です。
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53 新桶の湯に馴染みたる小正月 コスモス
  私には句意がよく分かりません。悪しからず。
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54 母逝きしある冬の日の引潮に 媛 香
  私には句意がよく分かりません。悪しからず。
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55 伊佐爾波の朱塗りの社初日影 哲 朗
<添削> 初日さす朱塗りの宮の大鳥居
  「初日影」は元旦の日の出のことです。「社」を見て、「初日影」を見るのは視点が
  大きく動きます。焦点をしぼって詠みましょう。
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56 水仙の匂いに酔いてカメラ振る そらまめ
<添削> 水仙の匂ふ遠くに白い船
  「匂いに酔いて」は言い過ぎ、「カメラ振る」というのはどんなもんでしょう。