1月分俳句の添削と寸評 |
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若草句会も2年目になりました。発足した昨年はしっかりした足取りで歩んできた |
と思います。俳句がうまくなるためには多少汗をかく必要があります。 |
少し努力しないといけません。今年は今までより目標を高く掲げ、多作に |
心がけましょう。今まで10句作っていた人は15句、15句作っていた人は |
20句作ることに挑戦してみてください1年後には必ず成果が現れます。 |
俳句がうまくなるためには多く作って多く捨てることです。 |
皆さんのご健吟をお祈りします。 |
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1月分俳句の添削と寸評をします。私の寸評と皆さんの思いと違うことが多々 |
あると思います。俳句は17音の短詞形ですから、詠み手によって解釈が |
変わります。ある選者がいいとした俳句でも別の選者は良くないと言うことも |
よくあります。その点ご了承ください。 |
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番号 |
投 句 |
1 |
>初夢や若草句会きらきらと |
泉 |
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いい句です。若草句会の輝くようや発展を期待します。頑張りましょう。 |
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2 |
> パソコンの除夜の鐘聴く金閣寺 |
媛 香 |
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<添削> メール打つ遠くに響く除夜の鐘 |
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俳句は実感したことを詠むのです。パソコンで除夜の鐘を聴いているということを |
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詠んでいるように解釈しましたのでこのようにしてみました。 |
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3 |
> 除夜の鐘聞いて年明け床につく |
竹 豪 |
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<添削> 除夜の鐘聴いて御神酒をぐいと飲む |
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「除夜の鐘」「年明け」は新年の季語です。また原句ですと説明的になります。 |
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調子も今一つなの添削句のようにしてみました。 |
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4 |
> 見慣れたる壁画艶めく初湯かな |
コスモス |
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いい句です。見慣れたる壁画ですが今日はことさら艶めいて見えます。 |
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元気な証拠です。今年も若い者に負けないように頑張りましょう。 |
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5 |
> 肩車凧引く細手高々と |
蝋 梅 |
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<添削> 高々と凧揚ぐる肩車の子 |
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調子がよくないように思いまして添削句のようにしてみました。 |
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6 |
冬薔薇小首かしげて咲きにけり |
楓 花 |
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いい句です。冬薔薇は小首をかしげて、今年の幸せを考えているのでしょうか。 |
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いい年でありますようお祈りします。 |
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7 |
家族連れ雪山眺め初湯かな |
しおかぜ |
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<添削> 家族連れ霊山眺む初湯かな |
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「かな」止めの場合は一気に詠みます。「雪山」は冬の季語、 |
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「初湯」は新年の季語です。一家団欒で初湯とはうらやましい。お幸せに。 |
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8 |
供花にもひともと添へる実千両 |
楓 花 |
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いい句です。亡き人が育て愛した実千両を供花に添える、優しい心遣い、 |
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故人もさぞ喜んでおられることでしょう。 |
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9 |
ともしびを消して聴き入る除夜の鐘 |
千 柳 |
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いい句です。静かに除夜の鐘を聴きながら一年の幸せを祈る。 |
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10 |
年かさね懐旧の情や老の春 |
石の花 |
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<添削> 懐旧の談義に耽る老の春 |
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「年かさね」「懐旧の」「老」と、言い過ぎになるので「年かさね」を省略しました。 |
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11 |
家族連れ無事にこやかな初詣で |
峰 生 |
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<添削> ?手をほどき子供駆け出す初詣 |
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「無事にこやかな」はどうかなと思いまして、このようにしてみました。 |
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12 |
腕腰の抜糸の妻や二日なる |
浩 風 |
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<添削> 腕腰の抜糸の妻の二日かな |
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「二日なる」を「二日かな」にしてみました。 |
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大変だったでしょう。しかしお家で正月を迎えられて良かったですよ。 |
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お大事にしてください。今年はいい年でありますようにお祈りします。 |
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13 |
成人の日羽織はかまの闊歩かな |
まこと |
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<添削> 成人の日の四五人の闊歩かな |
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「成人の日」で切れ、「かな」止めはどうかと思います。 |
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成人式で若者が闊歩している。暴れることのないようにして、お祝いしたいものです。 |
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14 |
初春や同級会の賑やかさ |
しおかぜ |
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<添削> 新春の意気壮なるクラス会 |
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同級会が盛り上がりましたね。元気なのが何よりです。若い者には負けないと |
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意気さかん、結構なことです。 |
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15 |
去年(こぞ)今年寝巻きのままの屠蘇酒かな |
蝋 梅 |
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「去年今年」「屠蘇」は新年の季語です。「去年今年」の季語は難しいです。 |
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考えてみてください。 |
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16 |
初稽古正座することままならず |
さつき |
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いい句です。生活が洋式になり、正座のできる人が少なくなりましたね。 |
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しびれを切らさないで寒稽古に励んでください。 |
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17 |
パラパラと音たて弾む霰かな |
いなご |
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<添削> 霰ふる足下暗き石の橋 |
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「バラバラ」「音」「弾む」と言い過ぎです。 |
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18 |
除夜の鐘よくここまでと酒しみる |
峰 生 |
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<添削> 除夜の鐘遠くに響く藷焼酎 |
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句意が今ひとつ分かりません。悪しからず。? |
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19 |
みどり児の寝息安らか牡丹雪 |
彰 子 |
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<添削> 安らかに眠る嬰児や小米雪 |
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調子が今ひとつのように思われるので、添削句のようにしてみました。 |
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20 |
門柱のポストに賀状のドサと落つ |
蝋 梅 |
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<添削> 年賀状どさっと落つるポストにて |
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中八になります。このような句にしてみました。 |
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21 |
箒目をたてて迎えるお正月 |
千 柳 |
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いい句です。今日は特に丁寧に箒目をたてている。清々しい気持ちでお正月を迎える。 |
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22 |
山仕事手を休めたる初音かな |
まこと |
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<添削> 山仕事憩ふ初音のすぐそこに |
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美しい初音、疲れも吹き飛ぶ。 |
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23 |
三が日娘はジーパンで押し通す |
千 柳 |
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いい句です。若い頃は世間体にとらわれない、こういった生き方もいいのではないでしょうか。 |
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24 |
落葉焚きそっと手を出し仲間入り |
哲 朗 |
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いい句です。通りすがりの落ち葉焚き、仲間に入れてもらう。そして話が弾む。 |
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景がよく分かります。 |
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25 |
初風呂や湯桶の音の清らかに |
哲 朗 |
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いい句です。初風呂で湯桶の音がいっそう清々しく聞こえ、気分も清々しくなる。 |
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いいお正月で、幸せに思う。 |
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26 |
寺町や迦陵頻伽に初参 |
楓 花 |
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<添削> はやばやと迦陵頻伽に初詣 |
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「寺町」「迦陵頻伽」「初参」は言い過ぎです。省略しましょう。 |
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27 |
霜の華瑠璃光浴びて凜と立ち |
さつき |
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「霜の華」―「凜と立ち」がよく分かりません。考えてみてください。 |
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28 |
水仙や小さき漁港の見える丘 |
いなご |
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いい句です。下灘の水仙ですか。水仙の香に浸りながらの素晴らしい眺め。 |
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一見の価値あり。 |
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29 |
戌年の明くるを待ちて初投句 |
竹 豪 |
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<添削> パソコンで俳句を送るお正月 |
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「戌年の明くる」「初投句」は季重ねになりませんか。 |
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今年もご健吟されますように。 |
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30 |
孫を背に石段多き初詣 |
さつき |
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いい句です。初孫でしょうか。背中の孫と話しながら上る。背中に温もりを感じ、 |
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長い石段も苦にならない。 |
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31 |
初春の湯舟で交わすご挨拶 |
ゆづき |
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いい句です。お決まりの挨拶ですが、湯舟で交わすのは特別にいい気分で、 |
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至福のひととき。今年もいい年でありますように。 |
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32 |
受験子の御籤見せ合う初詣 |
コスモス |
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<添削> 受験子の御籤見せ合ふ浪の音 |
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「受験子」は春の季語、「初詣」は新年の季語です。「初詣」を省略しました。 |
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33 |
涙した映画の帰り冬の星 |
そらまめ |
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<添削> 涙した映画を想ふ冬の星 |
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原句ですと説明的になります。「帰り」を省略しました。 |
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34 |
成人式孫の姿に感無量 |
菜の花 |
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<添削> 初孫の成人式の晴姿 |
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俳句は感情の表現は押さえて、物に託して表現します。うまく添削できませんが、 |
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添削句で祖父母の感慨が想像できると思います。 |
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35 |
お年玉貰ってニッコリ孫の顔 |
菜の花 |
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<添削> お年玉貰って孫のえびす顔 |
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原句は説明になります。添削句も今ひとつ。孫というだけで可愛いのものなので、 |
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孫の俳句は余りこのまれません。 |
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36 |
クリスマス絶えて久しいプレゼント |
哲 朗 |
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具象生(物)に欠けるように思います。考えてみてください。 |
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37 |
ルミナリエ点灯と同時にウオーの声 |
菜の花 |
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季語がありません。中九になっています。また説明的です。考えてみてください。 |
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38 |
神妙に手を合わせてる受験の子 |
いなご |
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<添削> 神妙に手を合わせゐる受験の子 |
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いい句です。真剣な受験子の様子が伺えます。合格するといいですね。 |
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39 |
初日さす霊峰四方に悠然と |
峰 生 |
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<添削> 初日さす霊峰凜としてゐたり |
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「四方」とは東西南北、前後左右をいいます。したがって「霊峰四方」というのは |
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いかがなものでしょう。 |
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40 |
水仙の薫り豊かに灘の海 |
泉 |
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<添削> 水仙の薫り豊かや海の紺 |
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「灘の海」では通じないと思います。 |
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41 |
妻につく介護の玻璃に初日かな |
浩 風 |
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<添削> 介護する妻の寝顔や初明り |
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私には句意が今ひとつはっきりしませので、添削句のようにしてみました。 |
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大変ですね。しっかり看病してあげてください。早く全快されるようお祈りします。 |
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42 |
初句会心新たに引き締める |
石の花 |
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<添削> 初句会少し濃ひめに化粧して |
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具象性に欠けます。物に託して詠みましょう。添削句で初句会に臨む心意気が |
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感じられると思います。俳句は言い切らないで、余韻を残すようにしましょう。 |
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43 |
骨壺を抱き温か冬最中 |
媛 香 |
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<添削> 骨壺を抱く真冬の碧い空 |
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「温か」は春の季語、「冬」は冬の季語で季重ねになります。ただし「冬最中」 |
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という季語があるのでしょうか。 |
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44 |
黄泉に母訪れるや年明けて |
石の花 |
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<添削> 黄泉に母訪れる初御空 |
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中八になります、そして具象性に欠けます。添削句のようにしてみました。 |
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ご愁傷さまです。 |
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45 |
鶯のこゑや嬰児の歩み初む |
彰 子 |
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私の句です。孫が庭で歩く稽古をする。少し歩いては拍手を送る。 |
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鶯も応援しているようにしきりに啼く。 |
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46 |
虫蛙身動きもせず寒返し |
そらまめ |
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「寒返し」という季語があるのでしょうか。「虫蛙」が「蛙」のことでしたら、 |
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春の季語になります。考えてみてください。 |
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47 |
嬰(やや)眠る遠山に雪うっすらと |
彰 子 |
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私の句です。むずかっていた嬰がやっと眠る。やれやれと遠くに目をやると、 |
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皿ヶ峰山系が雪で白くなっている。寒い時期、風邪をひかないように |
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元気で育ってほしいと願う。 |
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48 |
リハビリのもうすぐ来るぞおらが春 |
浩 風 |
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<添削> リハビリのもうすぐ来るよ朧月 |
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大変ですね。お見舞い申し上げます。具象性(物)に欠けます。俳句は自分の思いや |
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気持ちを物に託して詠むものです。したがって「おらが春」を「朧月」に |
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替えてみました。感じはでるのではないでしょうか。 |
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49 |
福引や縁起はじめの招き猫 |
まこと |
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<添削> 福引や縁起をかつぐ招き猫 |
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「縁起をかつぐ」「縁起直し」「縁起がいい」「縁起でもない」とかいいますが、 |
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私は「縁起はじめ」という言葉を知りません。悪しからず。 |
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50 |
新年の願いを込めて万灯会 |
泉 |
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<添削> 新年の願ひを込めるご灯明 |
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「新年」は新年の季語、「万灯会」は秋の季語で季重ねになります。 |
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51 |
銀天街当たりのくじはしゃぶり飴 |
竹 豪 |
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季語がありません。考えてみてください。 |
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52 |
初詣幸せ祈る共白髪 |
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<添削> 手を取りて共に白髪や初詣 |
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「初詣幸せ祈る」少し説明的です。 |
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53 |
新桶の湯に馴染みたる小正月 |
コスモス |
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私には句意がよく分かりません。悪しからず。 |
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54 |
母逝きしある冬の日の引潮に |
媛 香 |
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私には句意がよく分かりません。悪しからず。 |
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55 |
伊佐爾波の朱塗りの社初日影 |
哲 朗 |
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<添削> 初日さす朱塗りの宮の大鳥居 |
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「初日影」は元旦の日の出のことです。「社」を見て、「初日影」を見るのは視点が |
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大きく動きます。焦点をしぼって詠みましょう。 |
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56 |
水仙の匂いに酔いてカメラ振る |
そらまめ |
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<添削> 水仙の匂ふ遠くに白い船 |
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「匂いに酔いて」は言い過ぎ、「カメラ振る」というのはどんなもんでしょう。 |