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2 月 分 添 削 と 寸 評 |
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一月はいぬる、二月は逃げるといいますが、早くも二月が終わります。 |
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二月から初めての試みとして兼題句(梅)を取り上げましたところ、多数 |
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の投句があり、しかもいい句が沢山あったことを大変うれしく思ってい |
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ます。兼題句から学ぶことことも多くあると思いますのでよく考えてみて |
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ください。私なりの拙い添削と寸評をします。少しでも参考になれば幸い |
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です。 |
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番号 |
兼題句 [梅] の 添 削 & 寸 評 |
俳 号 |
1 |
親子ずれ折り詰め広げ梅まつり |
石の花 |
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<添削> 折り詰めをひらく親子や梅日和 |
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調子が良くないのでこのように詠んでみました。 |
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2 |
しだれ梅庭に一本お品良く |
菜の花 |
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<添削> 日射しよき庭に記念のしだれ梅 |
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「お品」と言う言葉があるのでしょうか。また、品良くでは具象性に欠け |
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るのでこのように詠んでみました。 |
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3 |
どの枝も万の蕾や梅日和 |
まこと |
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いい句です。今年は花付きが良い。このところの暖かさで蕾が日々ふく |
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らんできて楽しみである。 |
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4 |
闘病の友を励ます梅一輪 |
ゆづき |
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いい句です。花好きな友が一輪の梅に癒される。心温まる句。 |
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5 |
願い石地蔵にとどけ梅の花 |
浩 風 |
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いい句です。垂れ梅でしょうか、石地蔵を覆うように咲いている。 |
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美しい情景が見えます。 |
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6 |
庭先の紅梅愛でて別れけり |
楓 花 |
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いい句です。久しぶりに友と歓談する。玄関まで見送りにきた友と |
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満開の梅を称えて別れを惜しむ。 |
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7 |
庭に植う小さきしら梅花五輪 |
媛 香 |
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<添削> 金婚の記念植樹の梅五輪 |
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説明的なのでこのように詠んでみました。 |
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8 |
梅の香を嗅ぎて相好くずしけり |
千 柳 |
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いい句です。顔をほころばせて大いに喜んでいる様子が見えてくる。 |
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9 |
探梅や大空仰ぎ深呼吸 |
哲 朗 |
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いい句です。満開の梅に堪能している様子が分かります。 |
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次のような句を作ってみました。 |
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<添削> 白梅の空あをあをとしていたり |
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10 |
玄関に梅花一枝主の顔 |
石の花 |
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<添削> 玄関に梅の一枝や老夫婦 |
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句意が今ひとつ分かりません。このように詠んでみました。 |
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11 |
梅の香を愛でて始まる野点かな |
まこと |
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いい句です。梅を見たあとの野点のお茶が美味しい。至福のひととき。 |
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12 |
さぬき路の藩の庭園梅真白 |
浩 風 |
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<添削> さぬき路の藩主の庭や梅日和 |
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調子がよくないのでこのように詠んでみました。 |
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13 |
白梅のしだれて裾のそろいけり |
さつき |
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いい句です。しだれ梅が大地に触れんばかりに垂れ下がっている美し |
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い光景が目に浮かぶ。 |
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14 |
梅林を潜りし風にであいけり |
哲 朗 |
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いい句です。多くを言っていないが観梅での心地よさがよく分かります。 |
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15 |
梅ひとひら添えて届いた母の文 |
千 柳 |
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<添削> 梅ひとひら添えて届いた母の文 |
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お母さんの優しい愛情が分かるような気がします。 |
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16 |
白梅や白鳥小屋の名はぼっちゃん |
コスモス |
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いい句です。「白梅」「白鳥小屋」の取り合わせがいいですね。また |
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名前が坊ちゃんとはおもしろい。 |
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17 |
今日からは梅の箸置夕支度 |
楓 花 |
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<添削> 今日からは梅の箸置雨の音 |
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「箸置」「夕支度」は付き過ぎるのでこのようにしてみました。 |
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18 |
大胆に紅梅活けし喫茶ロビー |
媛 香 |
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いい句です。大胆に活けしがいいですね。「喫茶ロビー」はリズムが悪 |
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いので喫茶店にしてみました。 |
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<添削> 大胆に紅梅活けし喫茶店 |
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19 |
梅一輪病の床に季の香り |
千 柳 |
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<添削> 長らえる病の床に梅一輪 |
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「梅」「香り」は付き過ぎになるかと思いこのように詠んでみました。 |
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20 |
梅が香やただひたすらに想ひはせ |
泉 |
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<添削> 梅が香や野点のお茶をすする音 |
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具象性に欠けるのでこのように詠んでみました。 |
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21 |
親族の集ひてめぐる梅の花 |
浩 風 |
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いい句です。恒例なのでしょうか、楽しかったことでしょう。 |
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22 |
枝振りの良き盆梅に売約札 |
コスモス |
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<添削> 盆梅に結び目かたき願ひ文 |
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説明的また言い過ぎなのでこのように詠んでみました。 |
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23 |
町外れ紅梅散るや昼餉どき |
峰 生 |
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<添削> キャンパスの梅散りそむる昼餉どき |
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調子が良くないのでこのように詠んでみました。 |
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24 |
観梅や見知らぬ人に話しかけ |
哲 朗 |
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いい句です。観梅で心が浮き浮きして誰にでも話しかけたくなる。 |
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至福のひととき。 |
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25 |
梅二輪三輪五十番札所 |
彰 子 |
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私の句です。繁多寺での句で漢字ばかりの句をつくりました。 |
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26 |
盆梅の蕾ふくらす雨滴かな |
コスモス |
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<添削> 盆梅の蕾ふくらむ朝(あした)かな |
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「雨滴」では説明あるいは付き過ぎかと思い替えてみました。 |
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27 |
梅日和和服姿の人もいて |
いなご |
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いい句です。梅まつりでは野点をしてを、美しい和服姿が目に付く。 |
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番号 |
自由題句 の 添 削 & 寸 評 |
俳 号 |
28 |
畑を打つ土の匂いが立ちにけり |
まこと |
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簡潔ですが景がよく分かります。いい句です。 |
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<添削> 畑を打つ土の匂ひの立ちにけり |
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29 |
菜園の草引く背に揚げ雲雀 |
そらまめ |
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「草引く」は夏の季語。「揚雲雀」は春の季語です。考えてみてください。 |
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30 |
妣の手で呪文唱えた春の灸 |
さつき |
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句意がよく分かりません。悪しからず。 |
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31 |
岩陰の土のふくらみ蕗の薹 |
いなご |
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<添削> 岩陰の所狭しと蕗の薹 |
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説明になるのでこのように詠んでみました。 |
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32 |
父母のなき故郷の冬の海 |
彰 子 |
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私の句です。私の故郷は尾道です。久しぶりに帰った故郷でに感慨。 |
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33 |
一列はひな菊ばかり集会所 |
いなご |
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景がよく分かりません。悪しからず。 |
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34 |
春よ来い姉妹の歌う窓灯り |
峰 生 |
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いい句です。「春よ来い」と幼い姉妹が歌っている。ほのぼのとした |
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夕暮れのひととき。 |
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上五と下五を入れ替えてみました。 |
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<添削> 窓の灯や姉妹の唄う春よ来い |
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35 |
些事多き一日暮れゆく大嚔(くさめ) |
彰 子 |
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私の句です。一日があっという間に暮れていく。今日は冷える。 |
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36 |
声援に押されてゴール春そこに |
泉 |
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いい句です。マラソンでしょうか。大勢の声援に後押しされてやっと |
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ゴールする。完走した喜び、充実感。春も間近だ頑張ろう。 |
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37 |
冬日和セキレイを呼ぶ耕耘機 |
そらまめ |
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<添削> 耕耘機あとにたはむる黄鶺鴒 |
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「セキレイ」は秋の季語です。したがって季重ねになります。このように |
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詠んでみました。 |
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38 |
欠伸して豪傑笑い山目覚む |
峰 生 |
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<添削> 欠伸して豪傑笑ひ山笑ふ |
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「山目覚む」は私の歳時記にはありません。秋の山は「山粧う」冬の山 |
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は「山眠る」春の山は「山笑う」と言います。 |
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39 |
春一番髪を乱して襟たてる |
石の花 |
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<添削> 春一番猫は背中を丸くして |
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春一番|髪を乱して|襟たてる|と言い過ぎです。このように詠んで |
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みました。 |
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40 |
春おぼろぼんぼり浮かぶ千古の湯 |
ゆづき |
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<添削> 朧にてぼんぼり浮かぶ千古の湯 |
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「おぼろ」は春の季語です。季語として「春おぼろ」と言いません。 |
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「千古の湯」がいいですね。 |
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41 |
春の雪嬉々とたわむる傘の列 |
泉 |
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いい句です。珍しい雪に通学児がはしゃいでいる情景が見えます。 |
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42 |
暖冬で東京降らず媛に雪 |
竹 豪 |
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「 暖冬」「雪」は冬の季語です。「媛に雪」は無理です。考えてみて |
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ください。 |
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43 |
ガレ−ジに争い残す猫の恋 |
さつき |
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情景がよく分かりません。悪しからず。 |
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44 |
節分祭両手広げて福つかむ |
媛 香 |
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<添削> 両の手を広げてつかむ 鬼やらひ |
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私の歳時記なは「節分祭」と言う季語はありません。 |
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45 |
釣り船の獲物おねだり冬カモメ |
そらまめ |
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<添削> 釣り船の獲物を狙ふ冬かもめ |
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調子がよくないのでこのように詠んでみました。よく見かける情景です。 |
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46 |
小春日に一日ドック終えホッと |
菜の花 |
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<添削> 小春日や一日ドック終へ喫茶 |
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俳句では感情はなるべく表現しないほうが良いのです。情景から読み |
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手がいろいろ想像をふくらますのです。 |
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47 |
ダイエットここが限界吊し柿 |
竹 豪 |
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いい句です。懸命にダイエットしている。吊し柿が美味しそうだけどもう |
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少し我慢しよう。リバンドはすぐです。頑張ってください。 |
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48 |
友と行く水仙の里のどかなり |
菜の花 |
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<添削> 老友と訪ふ北国の水仙郷 |
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「水仙」は冬の季語、「のどか」は春の季語です。 |
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49 |
たまげたね季節外れの向日葵や |
ゆづき |
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<添削> 庭隅の季節外れの日輪草 |
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俳句では感情はなるべく表現しないで、想像は読み手にまかせま |
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しょう。 |
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50 |
冬帽子小さくなりし母の顔 |
楓 花 |
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いい句です。母へのいたわりの気持ちがよく分かります。いつまでも |
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元気でいてほしいと願う。 |
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51 |
チュ−リップ大寒耐えて芽が覗く |
竹 豪 |
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「芽吹く」と言う春の季語があります。「芽が覗く」はどうかと思います。 |
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また、「チュ−リップ」は春の季語です。考えてみてください。 |