平成19年 3月1日〜平成19年 3月20日 投句分
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互 選 句
第 27 回 披 講
       3 月 分 添 削 と 寸 評
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 3月になるとめっきり春を感じるようになりますが、今年は
特に暖冬だったのでその思いをいっそう強くします。
 3月の兼題句は2月の「梅」につづき「桜、花」にしました。
「梅」はいい句が沢山ありましたが、「桜、花」にもいい句が
沢山あり嬉しく思っています。
 前にも言いましたが、季語は大事です。必ず歳時記でよく
確かめるようにしてください。
 相変わらず私なりの添削と寸評をします。
番号 .    自 由 題 句 添 削 & 寸 評
1 境内の緋寒サクラや百羅漢
<添削>  名刹の緋寒ざくらや風の音
「境内」「百羅漢」は付き過ぎるのでこのように詠んでみました。
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2 自治会の花見の知らせまだつぼみ
<添削>  自治会の花見の知らせ指を折る
説明的です。また俳句としておもしろくないのでこのように詠んでみました。
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3 図書館の窓から桜覗き込み
<添削>  図書館の窓から望む山ざくら
桜を覗き込んでいるのか、桜が覗き込んでいるのか、情景があいまいのように
思いましたのでこように詠んでみました。
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4 花や散る香煙ゆるき故里(さと)の寺
いい句です。香煙立ちのぼるなかに花が散っているという美しい光景が見えて
きます。
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5 老さくら今が見ごろと知らせあり
いい句です。古里からでしょうか、自慢の桜が満開だという。今年も是非
見に行こう。
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6 荒れ庭を吾がもの顔に桜草
<添削>  荒れ庭を吾がもの顔に桜草
「桜草」(プリムラ)はサクラソウ科の多年草で、兼題の「桜」とは違います。
考えて見て下さい。
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7 ちらほらと予報に合わせ花開く
<添削> 花開く予報に合わせちらほらと
五七五を入れ替え「花開く」で軽く切りました。この方が調子が良いと思います。
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8 桜追ふ旅などしたき志野茶碗
私には情景がよく分かりません。考えてみて下さい。
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9 校門に桜のありき母ありき
私には句意がよく分かりません。悪しからず。
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10 気象庁桜開花に旅惑う
情景がでてきません。考えてみて下さい。
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11  北上の桜前線ハイビジョン
句意がよく分かりません。悪しからず。
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12 まだ咲かぬ桜の下を通りけり
いい句です。早く咲かないかなと花を探しながら歩く。待ちきれない気持ち
がよく分かります。
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13 トンネルを出でて目に入る山桜
いい句です。トンネルを出て見る桜が目に染みるように美しい。
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14 四温三寒桜の花の咲き惑う
「三寒四温」は季語にありますが、「四温三寒」はありません。考えて
見て下さい。
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15 桜餅葉の塩味が生きており
いい句です。塩味がほどよく効いていて美味しい。桜餅は葉と一緒の食べ
るのが通。
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16 花の宴シート広げて待つ一人
いい句です。早くからの場所取り。今日は満開で天気もよく最高の花見。
ご苦労さまです。
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17 今しばし桜の蕾楽しまむ
いい句です。開花間近の桜を見ているのも楽しいものである。
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18 桜咲く孫の便りの待ち遠し
<添削>  一人居の母の太字の花便り
「孫」を使うのできるだけ止めましょう。俳句では「待ち遠し」といった気持ち
はなるべく押さえて読む人の想いにまかせましょう。
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19 人波に押され桜の通抜け
いい句です。大阪造幣局など桜の通り抜けで有名な所が沢山あり
ます。桜は見事に咲いていますが、人波に押されてゆっくり観賞
できませんよね。
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20 若桜愛でて御薄のほろ苦さ
いい句です。花見でのお茶会でしょうか。風情があります。美しい桜と
薄茶の対比がおもしろい。
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21 いにしえの桜三里に茶屋しのぶ 
<添削> 母と訪ふ桜三里の堤かな 
「桜三里」は地名あるいは場所ではないでしょうか。
このように詠めば堤に桜が三里も続いていると解釈できませんか。
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22 老桜の一枝にふるる日暮時
私の句です。傘寿を迎えて老桜に触れ感慨にふける。
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番号 .    自 由 題 句 添 削 & 寸 評
23 宇和海の真珠筏や春の風
いい句です。宇和海は真珠の養殖で有名。春風に真珠筏がきらめい
ていると言ううららかな美しい宇和海の景が見えます。
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24 残雪や石鎚連邦風光る
<添削> 残雪の石鎚山や風の音
「残雪」「風光る」は春の季語です。
です。
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25 見上げれば吹く風黄色花ミモザ
<添削> 仰ぎゐる風も黄色な花ミモザ 
「花ミモザ」は高木で黄色い球状の花が穂状になって咲く。調子が悪い
ので「吹く風」は「風」にしました。風も黄色に見えるというところがおもしろい。
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26 陽は優し川面をそよぐ花菜風
いい句です。やわらかい日射しを受けている川面に花菜風が吹いているという
のどかな光景。
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27 遮断機の棹指す影や日脚伸ぶ
いい句です。遮断機を棹にみたてたところがおもしろい。遮断機の影から
季節の移ろいを感じるのである。
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28 実生より赤き椿の咲きにけり
いい句です。丹精こめて育てた椿の花が見事に咲く感動のひととき。
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29 自モデル花壇王者の風格チュウリップ
<添削> 王者なるモデル花壇のチュ−リップ
モデル花壇|王者の風格|チュウリップ|と三段切れになるのでこの
ように詠んでみました。
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30 散歩道菜の花のいろ目を奪う
<添削>  菜の花に佇む老ひの昼下がり
気持ちの表現を押さえるため「目を奪う」は省きました。また調子がよく
ないのでこのように詠んでみました。
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31 自春風やうなじの髪をとほりぬけ
<添削>  春風のうなじの髪をとほりぬけ
「や」で切らないほうが良いと思います。風情があっていいですね。
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32 鈍色の空に一筋春の光
私には景がよく分かりません。悪しからず。
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33 春うらら水面にはねる鯉背びれ
<添削>  春立つや水面に跳ねる鯉の群
「うらら」は春の季語で、「春うらら」とは言いません。
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34 残雪や麓の廃屋陰長し
<添削>  残雪や陰のながびく大藁屋
中八になります。調子もよくないのでこのように詠んでみました。
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35 鴨の陣一羽のカモメ迷い来て
<添削> 迷い来しカモメ一羽の鴨の陣
調子がよくないのでこのように詠んでみました。
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36 春の夜ぼんぼりのした影二つ
<添削> 暖かやぼんぼりに添ふ二人影
「春の夜」「ぼんぼり」は付き過ぎです。調子を整えるためにこの
ように詠んでみました。
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37 雪の斜里岳あかむらさきに明けにけり
私の句です。知床めぐりのときの一句です。ひときわ美しい斜里岳
に感動する。
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38 土筆見て歩く野道は春うらら
<添削> 石鎚の見ゆる野道やつくしんぼ
「うらら」は春の季語です。したがって「春うらら」とは言いません。また「土筆」も
春の季語です。
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39 散歩する仔犬よろこぶ春の土
<添削>  ひらひらと仔犬よろこぶ春の雪
俳句としておもしろくないのでこのように詠んでみました。
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40 春キャベツ薔薇抱くごとくいただけり
<添削>  春キャベツ子を抱くごとくそっと抱き
「春キャベツ」は春の季語になりませんか。「薔薇」は夏の季語です。
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41 荒れ庭に匂いの満ちて黄水仙
<添削>  荒れ庭に香りただよふ黄水仙
荒れている庭ですがいい香りがただよい心地良い。
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42 泥つきの大根さげて立ちばなし
いい句です。家庭菜園でしょうか。取り立ての大根を下げたまま話が弾む。
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43 押入れをゴソゴソ探すもどり寒
いい句です。季語が効いています。
入れ替えてみました。   ごそごそと押入れ探すもどり寒
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44 日脚伸ぶ柱時計のぼんと鳴り
私の句です。日脚が伸びてくると柱時計の音もまのびして聞こえる。
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45 開花時季誤報誤る気象庁
情景が出てきません。考えてみてください。
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46 弥生月寒の戻りに初雪が
<添削>  弥生月寒の戻りに初雪が
「弥生」「寒」「初雪」は季語です。考えてみて下さい。
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47 セキレイは、バックミラーに喧嘩売り
「鶺鴒」は秋の季語。私には景がよく分かりません。また具象性に欠ける
ように思います。考えてみてください。
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48 初蝶やウォーキングの道連れに??
<添削>  初蝶やウォーキングの二人連
「道連れ」ですと「初蝶や」で切らない方がよいと思います。