番号 |
. 自 由 題 句 添 削 & 寸 評 |
1 |
境内の緋寒サクラや百羅漢 |
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<添削> 名刹の緋寒ざくらや風の音 |
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「境内」「百羅漢」は付き過ぎるのでこのように詠んでみました。 |
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2 |
自治会の花見の知らせまだつぼみ |
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<添削> 自治会の花見の知らせ指を折る |
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説明的です。また俳句としておもしろくないのでこのように詠んでみました。 |
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3 |
図書館の窓から桜覗き込み |
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<添削> 図書館の窓から望む山ざくら |
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桜を覗き込んでいるのか、桜が覗き込んでいるのか、情景があいまいのように |
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思いましたのでこように詠んでみました。 |
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4 |
花や散る香煙ゆるき故里(さと)の寺 |
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いい句です。香煙立ちのぼるなかに花が散っているという美しい光景が見えて |
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きます。 |
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5 |
老さくら今が見ごろと知らせあり |
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いい句です。古里からでしょうか、自慢の桜が満開だという。今年も是非 |
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見に行こう。 |
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6 |
荒れ庭を吾がもの顔に桜草 |
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<添削> 荒れ庭を吾がもの顔に桜草 |
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「桜草」(プリムラ)はサクラソウ科の多年草で、兼題の「桜」とは違います。 |
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考えて見て下さい。 |
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7 |
ちらほらと予報に合わせ花開く |
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<添削> 花開く予報に合わせちらほらと |
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五七五を入れ替え「花開く」で軽く切りました。この方が調子が良いと思います。 |
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8 |
桜追ふ旅などしたき志野茶碗 |
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私には情景がよく分かりません。考えてみて下さい。 |
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9 |
校門に桜のありき母ありき |
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私には句意がよく分かりません。悪しからず。 |
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10 |
気象庁桜開花に旅惑う |
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情景がでてきません。考えてみて下さい。 |
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11 |
北上の桜前線ハイビジョン |
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句意がよく分かりません。悪しからず。 |
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12 |
まだ咲かぬ桜の下を通りけり |
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いい句です。早く咲かないかなと花を探しながら歩く。待ちきれない気持ち |
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がよく分かります。 |
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13 |
トンネルを出でて目に入る山桜 |
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いい句です。トンネルを出て見る桜が目に染みるように美しい。 |
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14 |
四温三寒桜の花の咲き惑う |
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「三寒四温」は季語にありますが、「四温三寒」はありません。考えて |
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見て下さい。 |
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15 |
桜餅葉の塩味が生きており |
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いい句です。塩味がほどよく効いていて美味しい。桜餅は葉と一緒の食べ |
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るのが通。 |
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16 |
花の宴シート広げて待つ一人 |
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いい句です。早くからの場所取り。今日は満開で天気もよく最高の花見。 |
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ご苦労さまです。 |
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17 |
今しばし桜の蕾楽しまむ |
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いい句です。開花間近の桜を見ているのも楽しいものである。 |
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18 |
桜咲く孫の便りの待ち遠し |
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<添削> 一人居の母の太字の花便り |
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「孫」を使うのできるだけ止めましょう。俳句では「待ち遠し」といった気持ち |
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はなるべく押さえて読む人の想いにまかせましょう。 |
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19 |
人波に押され桜の通抜け |
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いい句です。大阪造幣局など桜の通り抜けで有名な所が沢山あり |
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ます。桜は見事に咲いていますが、人波に押されてゆっくり観賞 |
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できませんよね。 |
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20 |
若桜愛でて御薄のほろ苦さ |
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いい句です。花見でのお茶会でしょうか。風情があります。美しい桜と |
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薄茶の対比がおもしろい。 |
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21 |
いにしえの桜三里に茶屋しのぶ |
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<添削> 母と訪ふ桜三里の堤かな |
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「桜三里」は地名あるいは場所ではないでしょうか。 |
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このように詠めば堤に桜が三里も続いていると解釈できませんか。 |
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22 |
老桜の一枝にふるる日暮時 |
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私の句です。傘寿を迎えて老桜に触れ感慨にふける。 |
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番号 |
. 自 由 題 句 添 削 & 寸 評 |
23 |
宇和海の真珠筏や春の風 |
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いい句です。宇和海は真珠の養殖で有名。春風に真珠筏がきらめい |
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ていると言ううららかな美しい宇和海の景が見えます。 |
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24 |
残雪や石鎚連邦風光る |
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<添削> 残雪の石鎚山や風の音 |
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「残雪」「風光る」は春の季語です。 |
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です。 |
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25 |
見上げれば吹く風黄色花ミモザ |
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<添削> 仰ぎゐる風も黄色な花ミモザ |
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「花ミモザ」は高木で黄色い球状の花が穂状になって咲く。調子が悪い |
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ので「吹く風」は「風」にしました。風も黄色に見えるというところがおもしろい。 |
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26 |
陽は優し川面をそよぐ花菜風 |
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いい句です。やわらかい日射しを受けている川面に花菜風が吹いているという |
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のどかな光景。 |
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27 |
遮断機の棹指す影や日脚伸ぶ |
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いい句です。遮断機を棹にみたてたところがおもしろい。遮断機の影から |
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季節の移ろいを感じるのである。 |
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28 |
実生より赤き椿の咲きにけり |
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いい句です。丹精こめて育てた椿の花が見事に咲く感動のひととき。 |
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29 |
自モデル花壇王者の風格チュウリップ |
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<添削> 王者なるモデル花壇のチュ−リップ |
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モデル花壇|王者の風格|チュウリップ|と三段切れになるのでこの |
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ように詠んでみました。 |
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30 |
散歩道菜の花のいろ目を奪う |
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<添削> 菜の花に佇む老ひの昼下がり |
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気持ちの表現を押さえるため「目を奪う」は省きました。また調子がよく |
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ないのでこのように詠んでみました。 |
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31 |
自春風やうなじの髪をとほりぬけ |
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<添削> 春風のうなじの髪をとほりぬけ |
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「や」で切らないほうが良いと思います。風情があっていいですね。 |
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32 |
鈍色の空に一筋春の光 |
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私には景がよく分かりません。悪しからず。 |
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33 |
春うらら水面にはねる鯉背びれ |
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<添削> 春立つや水面に跳ねる鯉の群 |
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「うらら」は春の季語で、「春うらら」とは言いません。 |
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34 |
残雪や麓の廃屋陰長し |
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<添削> 残雪や陰のながびく大藁屋 |
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中八になります。調子もよくないのでこのように詠んでみました。 |
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35 |
鴨の陣一羽のカモメ迷い来て |
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<添削> 迷い来しカモメ一羽の鴨の陣 |
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調子がよくないのでこのように詠んでみました。 |
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36 |
春の夜ぼんぼりのした影二つ |
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<添削> 暖かやぼんぼりに添ふ二人影 |
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「春の夜」「ぼんぼり」は付き過ぎです。調子を整えるためにこの |
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ように詠んでみました。 |
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37 |
雪の斜里岳あかむらさきに明けにけり |
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私の句です。知床めぐりのときの一句です。ひときわ美しい斜里岳 |
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に感動する。 |
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38 |
土筆見て歩く野道は春うらら |
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<添削> 石鎚の見ゆる野道やつくしんぼ |
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「うらら」は春の季語です。したがって「春うらら」とは言いません。また「土筆」も |
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春の季語です。 |
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39 |
散歩する仔犬よろこぶ春の土 |
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<添削> ひらひらと仔犬よろこぶ春の雪 |
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俳句としておもしろくないのでこのように詠んでみました。 |
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40 |
春キャベツ薔薇抱くごとくいただけり |
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<添削> 春キャベツ子を抱くごとくそっと抱き |
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「春キャベツ」は春の季語になりませんか。「薔薇」は夏の季語です。 |
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41 |
荒れ庭に匂いの満ちて黄水仙 |
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<添削> 荒れ庭に香りただよふ黄水仙 |
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荒れている庭ですがいい香りがただよい心地良い。 |
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42 |
泥つきの大根さげて立ちばなし |
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いい句です。家庭菜園でしょうか。取り立ての大根を下げたまま話が弾む。 |
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43 |
押入れをゴソゴソ探すもどり寒 |
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いい句です。季語が効いています。 |
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入れ替えてみました。 ごそごそと押入れ探すもどり寒 |
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44 |
日脚伸ぶ柱時計のぼんと鳴り |
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私の句です。日脚が伸びてくると柱時計の音もまのびして聞こえる。 |
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45 |
開花時季誤報誤る気象庁 |
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情景が出てきません。考えてみてください。 |
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46 |
弥生月寒の戻りに初雪が |
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<添削> 弥生月寒の戻りに初雪が |
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「弥生」「寒」「初雪」は季語です。考えてみて下さい。 |
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47 |
セキレイは、バックミラーに喧嘩売り |
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「鶺鴒」は秋の季語。私には景がよく分かりません。また具象性に欠ける |
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ように思います。考えてみてください。 |
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48 |
初蝶やウォーキングの道連れに?? |
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<添削> 初蝶やウォーキングの二人連 |
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「道連れ」ですと「初蝶や」で切らない方がよいと思います。 |