平成19年 7月1日〜平成19年 7月20日 投句分
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互 選 句
第 31 回 披 講
番号    投 稿 句 の 添 削 と 寸 評 俳 号
1 あらら留守軒の風鈴揺れるのみ 峰 生
句意がよく分かりません。悪しからず。
 
2 菜園のトマトをがぶりチャイナフリー そらまめ
詩的情緒に欠けるように思います。考えてみてください。
 
3 初蝉のすっきり鳴きてそれっきり 媛 香
<添削> 初蝉のすっきり鳴ゐてをりにけり
句意がよく分かりません。悪しからず。
 
4 下向きに鬼ゆり咲けり雨の中 哲 朗
<添削>鬼ゆりの下向きに咲く雨の中
調子がよくないのでこのように詠んでみました。
 
5 夏の夜に電車に描くイラストや ゆづき
句意がよく分かりません。悪しからず。
 
6 名水へ坂上りゆく夏至の昼 楓 花
いい句です。どこの名水でしょうか。坂道はきついが楽しみ
である。
 
7 子かまきり柔らかき斧かざしくる まこと
<添削> 柔らかき斧かざしゐる子かまきり
調子が今一つなのでこのように詠んでみました。
 
8 うつむきて咲ける鬼百合急斜面  いなご
<添削> 鬼百合のうつむきて咲く碧い海
調子が今一つなのでこのように詠んでみました。
 
9 鳥の来て先取りされしトマトかな 浩 風
いい句です。くやしいですね。でも鳥が喜んで食べたので
よしとしましょう。
 
10 遥かなる御国(みくに)の空よ木槿(むくげ)かな  泉 
句意がよく分かりません。悪しからず。
かな止めの場合は途中で切らずに一気に詠みましょう。
 
11 甚平を羽織りて宵の庭に立つ 千 柳
<添削> 甚平を羽織る窓より丸い月
説明的なのでこのように詠んでみました。
 
12 退院の母待つ窓の姫小百合 楓 花
いい句です。母の退院を一日でも早くと願っている。
母の好きな姫子百合は今真っ盛りで母に見せたい。
季語がいいですね。
 
13 Tシャツの背中にヨット夏の濱 浩 風
<添削> Tシャツの帆船風のわたりゐる
「ヨット」「夏の濱」と季重ねです。また、説明的なのでこの
ように詠んでみました。
 
14 考古館 出れば眩しき新樹光 まこと
いい句です。簡明に詠んでをり情景がよく分かります。
 
15 一字(ひとあざ)にバス停一つちっち蝉 彰 子
私の句です。人気のまったくないところで蝉が鳴きしきる。
 
16 何時となく夫婦喜寿経て星祭 峰 生
いい句です。いつまでも仲良く元気で長生きしてください。
 
17 隣へと伸びる凌霽(のうぜん)引き戻す いなご
<添削> 隣へと伸びるのうぜんかづらかな
説明的になるので「引き戻す」を省いてみました。
凌霽の花は勢いのよい花でどんどん伸びていきます。
 
18 老いの夢生涯青春百合の花  さつき
いい句ですが、三段切れで調子が今一なのでこのように
詠んでみました。
<添削> 老ひてなを生涯青春百合の花
 
19 梅雨湿り子規の座布団伊予絣 媛 香
いい句です。季語を替えて断定してみました。
<添削> 梅雨冷えや子規の座布団伊予絣
 
20 里芋の葉陰大きく梅雨明ける そらまめ
<添削> 菜園の葉陰しずかに梅雨明ける
「里芋」は秋、「梅雨明」は夏の季語です。
 
21 震災や地滑り落ちて百合無惨 石の花
説明的になります。社会俳句は難しいです。考えてみてく
ださい。
 
22 嵐すぎ天地ゆらぎる越後かな ゆづき
<添削> 梅雨寒の天地ゆらぎる越後かな
「嵐」は季語ではないと思いますが。
 
23 六地蔵前掛け色褪せ衣更 竹 豪
<添削> お地蔵の前掛け褪せる土用入り
説明的です。中八になっています。調子も今ひとつ。
 
24 漕ぎ出して夏鶯のこだま聞く  コスモス
いい句です。うぐいすの声を湖から聴くのは風情があって
いいですね。
<添削> 漕ぎ出して夏鶯を聴きにけり 
「こだま」を省略。
 
25 砂丘の上若者たちはクツ下げて 菜の花
<添削> 砂丘灼く若者たちは靴下げて
季語がありません。
 
26 ほおずきや紅指す前の青さかな 石の花
<添削> ほほずきや紅指す前の青さにて
強い切れ字の「や」「かな」と一句の中で使のは止めま
しょう。考えてみてください。
 
27 山あいの棚田によせる青田風 哲 朗
いい句です。棚田は山あいにあるものですから上五を替え
てみました。
<添削>奥伊予の棚田によせる青田風
 
28 ボート漕ぐ音行き交いて池薄暑 コスモス
<添削> 薄暑なりボート漕ぐ音行き交ひて
調子が今一つなのでこのように詠んでみました。
「ボート」ですから「池」を省きました。
 
29 鎌止めて汗を拭ひて又仕事 竹 豪
<添削> 鎌の手を休め汗拭く野良仕事
三段切れになります。
 
30 川べりに一輪清楚に百合の花 菜の花
<添削> 川べりに一輪二輪百合の花
調子が今一つ。中八になっています。「清楚」を省略しま
した。
 
31 郭公の声源流に手を浸す 彰 子
私の句です。
四万十川の源流で作った句です。手が凍みるように冷た
い。静寂のなかに郭公が鳴く
 
32 空蝉や命燃やして物想ふ  泉 
<添削> 空蝉の仰ぐみ空のまさをにて
情が強すぎるのでこのように平易に詠んでみました。
 
33 地下足袋の父の姿や青田風  さつき
いい句です。頼りがいのある父、いつまでも元気で長生き
してほしいと願う。
 
34 落ち栗の毬の隙間に百合の花 竹 豪
<添削> 落ち栗の毬の隙間に知らぬ花
「落ち栗」「百合の花」と季重ねです。考えてみてください。
 
35 台風去り梅雨と思えぬ爽やかさ 菜の花
<添削> 台風一過暮れ際の波の音
 「台風」「梅雨」「爽や」と季重ねです。考えてみてください。
 
36 台風も恵みの雨と喜ばれ ゆづき
いい句です。簡明の詠まれておりよく分かります。
 
37 梅雨寒やショパンのピアノ飽かず聴く 楓 花
いい句です。梅雨寒にショパンのピアノ曲に聞きいっている。
情景がよく分かります。「飽かず」を省略して詠むと更によく
なります。
 
38 梅雨湿り軋む電車や子規の郷 媛 香
<添削> 炎昼の軋む電車や子規の郷
上五で切れるのはどうかなと思い、季語を替えてみました。
 
39 草笛を鳴らすまぶしき雲一つ 彰 子
私の句です。青春に返ったようないい気分。
 
40 そぞろ行く小江戸横町氷菓子     泉 
いい句です。氷菓子を食べながら小江戸横町を行く。下町
情緒たっぷり。
 
41 駐車場までを小走り五月雨るる コスモス
<添削> 五月雨や猫走り出す駐車場
説明になります。このように詠んでみました。
 
42 星になる夢の花火の天日干 さつき
句意がよく分かりません。悪しからず。
 
43 浮き雲にともかく降れよと旱空 峰 生
<添削> 大旱湖の底より小学校   
俳句は景を7〜8分、情を2〜3分に詠むとよいと言われ
ます。この句では情が強過ぎます。また「浮き雲」と「旱空」
は付き過ぎです。
 
44 鳴神や地震ニュースの柏崎 そらまめ
<添削> 雷鳴や地震ニュースの柏崎
私の歳時記には「雷神」はありますが「鳴神」はありません。
新潟県中越沖地震では大きな被害がでました。お見舞い
申し上げます。
 
45 鬼百合の香に包まれて立ち話し まこと
いい句です。和やかなひととき、話が弾む。
 
46 笹ゆりの咲く里山や朝の道 哲 朗
<添削> 笹ゆりの咲く奥伊予の二人連
「里山や」で切るのはどうかなと思いこのように詠んでみ
ました。
 
47 煙火消えいま満天に星光る 千 柳
<添削> 大花火終ふ伊予港の月夜かな
説明的になるのでこのように詠んでみました。季重ねです
が「大花火」が強いのでこのような使い方はよくします。
 
48 やしの濱ヨットをみがく男かな 浩 風
<添削> 丹念にヨットをみがく男かな
「濱」「ヨット」は付き過ぎるので平明に詠んでみました。
かな止めの場合「やしの濱」で切らないようにしましょう。
 
49 ツバメの子丸く口開けえさをまつ 石の花
<添削> よろず屋の待ちに待ちゐる燕の子
付き過ぎで説明になります。平明に詠んでみました。
 
50 夕膳に徳利いっぽん冷奴 千 柳
いい句です。妻と差し向かいの夕膳、冷奴がさぞ美味しい
ことでしょう。季語がよい。
 
51 墓石のででむしそっと草むらへ いなご
<添削> 風聴いてゐるや墓石のかたつむり
説明的なのでこのように詠んでみました。