
| 番号 | 投 稿 句 の 添 削 と 寸 評 | 俳 号 | |
| 1 | あらら留守軒の風鈴揺れるのみ | 峰 生 | |
| 句意がよく分かりません。悪しからず。 | |||
| 2 | 菜園のトマトをがぶりチャイナフリー | そらまめ | |
| 詩的情緒に欠けるように思います。考えてみてください。 | |||
| 3 | 初蝉のすっきり鳴きてそれっきり | 媛 香 | |
| <添削> 初蝉のすっきり鳴ゐてをりにけり | |||
| 句意がよく分かりません。悪しからず。 | |||
| 4 | 下向きに鬼ゆり咲けり雨の中 | 哲 朗 | |
| <添削>鬼ゆりの下向きに咲く雨の中 | |||
| 調子がよくないのでこのように詠んでみました。 | |||
| 5 | 夏の夜に電車に描くイラストや | ゆづき | |
| 句意がよく分かりません。悪しからず。 | |||
| 6 | 名水へ坂上りゆく夏至の昼 | 楓 花 | |
| いい句です。どこの名水でしょうか。坂道はきついが楽しみ | |||
| である。 | |||
| 7 | 子かまきり柔らかき斧かざしくる | まこと | |
| <添削> 柔らかき斧かざしゐる子かまきり | |||
| 調子が今一つなのでこのように詠んでみました。 | |||
| 8 | うつむきて咲ける鬼百合急斜面 | いなご | |
| <添削> 鬼百合のうつむきて咲く碧い海 | |||
| 調子が今一つなのでこのように詠んでみました。 | |||
| 9 | 鳥の来て先取りされしトマトかな | 浩 風 | |
| いい句です。くやしいですね。でも鳥が喜んで食べたので | |||
| よしとしましょう。 | |||
| 10 | 遥かなる御国(みくに)の空よ木槿(むくげ)かな | 泉 | |
| 句意がよく分かりません。悪しからず。 | |||
| かな止めの場合は途中で切らずに一気に詠みましょう。 | |||
| 11 | 甚平を羽織りて宵の庭に立つ | 千 柳 | |
| <添削> 甚平を羽織る窓より丸い月 | |||
| 説明的なのでこのように詠んでみました。 | |||
| 12 | 退院の母待つ窓の姫小百合 | 楓 花 | |
| いい句です。母の退院を一日でも早くと願っている。 | |||
| 母の好きな姫子百合は今真っ盛りで母に見せたい。 | |||
| 季語がいいですね。 | |||
| 13 | Tシャツの背中にヨット夏の濱 | 浩 風 | |
| <添削> Tシャツの帆船風のわたりゐる | |||
| 「ヨット」「夏の濱」と季重ねです。また、説明的なのでこの | |||
| ように詠んでみました。 | |||
| 14 | 考古館 出れば眩しき新樹光 | まこと | |
| いい句です。簡明に詠んでをり情景がよく分かります。 | |||
| 15 | 一字(ひとあざ)にバス停一つちっち蝉 | 彰 子 | |
| 私の句です。人気のまったくないところで蝉が鳴きしきる。 | |||
| 16 | 何時となく夫婦喜寿経て星祭 | 峰 生 | |
| いい句です。いつまでも仲良く元気で長生きしてください。 | |||
| 17 | 隣へと伸びる凌霽(のうぜん)引き戻す | いなご | |
| <添削> 隣へと伸びるのうぜんかづらかな | |||
| 説明的になるので「引き戻す」を省いてみました。 | |||
| 凌霽の花は勢いのよい花でどんどん伸びていきます。 | |||
| 18 | 老いの夢生涯青春百合の花 | さつき | |
| いい句ですが、三段切れで調子が今一なのでこのように | |||
| 詠んでみました。 | |||
| <添削> 老ひてなを生涯青春百合の花 | |||
| 19 | 梅雨湿り子規の座布団伊予絣 | 媛 香 | |
| いい句です。季語を替えて断定してみました。 | |||
| <添削> 梅雨冷えや子規の座布団伊予絣 | |||
| 20 | 里芋の葉陰大きく梅雨明ける | そらまめ | |
| <添削> 菜園の葉陰しずかに梅雨明ける | |||
| 「里芋」は秋、「梅雨明」は夏の季語です。 | |||
| 21 | 震災や地滑り落ちて百合無惨 | 石の花 | |
| 説明的になります。社会俳句は難しいです。考えてみてく | |||
| ださい。 | |||
| 22 | 嵐すぎ天地ゆらぎる越後かな | ゆづき | |
| <添削> 梅雨寒の天地ゆらぎる越後かな | |||
| 「嵐」は季語ではないと思いますが。 | |||
| 23 | 六地蔵前掛け色褪せ衣更 | 竹 豪 | |
| <添削> お地蔵の前掛け褪せる土用入り | |||
| 説明的です。中八になっています。調子も今ひとつ。 | |||
| 24 | 漕ぎ出して夏鶯のこだま聞く | コスモス | |
| いい句です。うぐいすの声を湖から聴くのは風情があって | |||
| いいですね。 | |||
| <添削> 漕ぎ出して夏鶯を聴きにけり | |||
| 「こだま」を省略。 | |||
| 25 | 砂丘の上若者たちはクツ下げて | 菜の花 | |
| <添削> 砂丘灼く若者たちは靴下げて | |||
| 季語がありません。 | |||
| 26 | ほおずきや紅指す前の青さかな | 石の花 | |
| <添削> ほほずきや紅指す前の青さにて | |||
| 強い切れ字の「や」「かな」と一句の中で使のは止めま | |||
| しょう。考えてみてください。 | |||
| 27 | 山あいの棚田によせる青田風 | 哲 朗 | |
| いい句です。棚田は山あいにあるものですから上五を替え | |||
| てみました。 | |||
| <添削>奥伊予の棚田によせる青田風 | |||
| 28 | ボート漕ぐ音行き交いて池薄暑 | コスモス | |
| <添削> 薄暑なりボート漕ぐ音行き交ひて | |||
| 調子が今一つなのでこのように詠んでみました。 | |||
| 「ボート」ですから「池」を省きました。 | |||
| 29 | 鎌止めて汗を拭ひて又仕事 | 竹 豪 | |
| <添削> 鎌の手を休め汗拭く野良仕事 | |||
| 三段切れになります。 | |||
| 30 | 川べりに一輪清楚に百合の花 | 菜の花 | |
| <添削> 川べりに一輪二輪百合の花 | |||
| 調子が今一つ。中八になっています。「清楚」を省略しま | |||
| した。 | |||
| 31 | 郭公の声源流に手を浸す | 彰 子 | |
| 私の句です。 | |||
| 四万十川の源流で作った句です。手が凍みるように冷た | |||
| い。静寂のなかに郭公が鳴く | |||
| 32 | 空蝉や命燃やして物想ふ | 泉 | |
| <添削> 空蝉の仰ぐみ空のまさをにて | |||
| 情が強すぎるのでこのように平易に詠んでみました。 | |||
| 33 | 地下足袋の父の姿や青田風 | さつき | |
| いい句です。頼りがいのある父、いつまでも元気で長生き | |||
| してほしいと願う。 | |||
| 34 | 落ち栗の毬の隙間に百合の花 | 竹 豪 | |
| <添削> 落ち栗の毬の隙間に知らぬ花 | |||
| 「落ち栗」「百合の花」と季重ねです。考えてみてください。 | |||
| 35 | 台風去り梅雨と思えぬ爽やかさ | 菜の花 | |
| <添削> 台風一過暮れ際の波の音 | |||
| 「台風」「梅雨」「爽や」と季重ねです。考えてみてください。 | |||
| 36 | 台風も恵みの雨と喜ばれ | ゆづき | |
| いい句です。簡明の詠まれておりよく分かります。 | |||
| 37 | 梅雨寒やショパンのピアノ飽かず聴く | 楓 花 | |
| いい句です。梅雨寒にショパンのピアノ曲に聞きいっている。 | |||
| 情景がよく分かります。「飽かず」を省略して詠むと更によく | |||
| なります。 | |||
| 38 | 梅雨湿り軋む電車や子規の郷 | 媛 香 | |
| <添削> 炎昼の軋む電車や子規の郷 | |||
| 上五で切れるのはどうかなと思い、季語を替えてみました。 | |||
| 39 | 草笛を鳴らすまぶしき雲一つ | 彰 子 | |
| 私の句です。青春に返ったようないい気分。 | |||
| 40 | そぞろ行く小江戸横町氷菓子 | 泉 | |
| いい句です。氷菓子を食べながら小江戸横町を行く。下町 | |||
| 情緒たっぷり。 | |||
| 41 | 駐車場までを小走り五月雨るる | コスモス | |
| <添削> 五月雨や猫走り出す駐車場 | |||
| 説明になります。このように詠んでみました。 | |||
| 42 | 星になる夢の花火の天日干 | さつき | |
| 句意がよく分かりません。悪しからず。 | |||
| 43 | 浮き雲にともかく降れよと旱空 | 峰 生 | |
| <添削> 大旱湖の底より小学校 | |||
| 俳句は景を7〜8分、情を2〜3分に詠むとよいと言われ | |||
| ます。この句では情が強過ぎます。また「浮き雲」と「旱空」 | |||
| は付き過ぎです。 | |||
| 44 | 鳴神や地震ニュースの柏崎 | そらまめ | |
| <添削> 雷鳴や地震ニュースの柏崎 | |||
| 私の歳時記には「雷神」はありますが「鳴神」はありません。 | |||
| 新潟県中越沖地震では大きな被害がでました。お見舞い | |||
| 申し上げます。 | |||
| 45 | 鬼百合の香に包まれて立ち話し | まこと | |
| いい句です。和やかなひととき、話が弾む。 | |||
| 46 | 笹ゆりの咲く里山や朝の道 | 哲 朗 | |
| <添削> 笹ゆりの咲く奥伊予の二人連 | |||
| 「里山や」で切るのはどうかなと思いこのように詠んでみ | |||
| ました。 | |||
| 47 | 煙火消えいま満天に星光る | 千 柳 | |
| <添削> 大花火終ふ伊予港の月夜かな | |||
| 説明的になるのでこのように詠んでみました。季重ねです | |||
| が「大花火」が強いのでこのような使い方はよくします。 | |||
| 48 | やしの濱ヨットをみがく男かな | 浩 風 | |
| <添削> 丹念にヨットをみがく男かな | |||
| 「濱」「ヨット」は付き過ぎるので平明に詠んでみました。 | |||
| かな止めの場合「やしの濱」で切らないようにしましょう。 | |||
| 49 | ツバメの子丸く口開けえさをまつ | 石の花 | |
| <添削> よろず屋の待ちに待ちゐる燕の子 | |||
| 付き過ぎで説明になります。平明に詠んでみました。 | |||
| 50 | 夕膳に徳利いっぽん冷奴 | 千 柳 | |
| いい句です。妻と差し向かいの夕膳、冷奴がさぞ美味しい | |||
| ことでしょう。季語がよい。 | |||
| 51 | 墓石のででむしそっと草むらへ | いなご | |
| <添削> 風聴いてゐるや墓石のかたつむり | |||
| 説明的なのでこのように詠んでみました。 | |||