平成19年 8月1日〜平成19年 8月20日 投句分
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互 選 句
第 32 回 披 講
8月分添削と寸評
夏ばてしておりませんか。残暑お見舞い申し上げます。今年は
いつになく猛暑日が続いて大変でした。こまめに水分を補給する
など暑さ対策には十分気をつけて体調管理に努めて下さい。
猛暑にも関わらず今月も良い句が沢山ありうれしく思っています。
精進のかいがありますね。
相変わらず拙い添削と寸評をします。いたらないことがあると
思いますがお許し下さい。
 
番号 添削と寸評 俳 号
1 風鈴を三つに増やし風を呼ぶ そらまめ
いい句です。風鈴が賑やかに鳴って涼しそう。
 
2 一筋の飛行機雲や夏の空 竹 豪
<添削> ひとすじの飛行機雲や藤寝椅子
「雲」「空」は付き過ぎるのでこのように詠んでみました。
 
3 スクランブルどっと行き交う汗と汗 千 柳
<添削> 汗顔のどっと行き交ふスクランブル
<添削> 帰省子のどっと行き交ふスクランブル
「汗が行き交う」というのはどうかなと思うのでこのように詠んでみました。
 
4 願い事星が流れる星月夜 石の花
句意がよく分かりません。悪しからず。
 
5 丑の日や塩餡餅で暑気払ひ 媛 香
いい句です。「丑の日」に「塩餡餅」の取り合わせがおもしろい。
 
6 夏やせに期待を込めて秤乗る そらまめ
いい句です。体重は期待どうりでしたか。少しはスマ−トになりましたか。
<添削> 夏痩せに期待を込めて秤乗る
 
7 凛とした木槿の花の愛おしき 菜の花
<添削> 白木槿咲き満ちてゐる無人駅
俳句では気持ちを押さえて詠みましょう。私は木槿の花が凜とするイメ−ジがあり
ません。素直に詠んでみました。
 
8 老僧の経しみわたる盂蘭盆会 千 柳
<添削> 老僧のお経のひびく夏木立
 「老僧」「経」「盂蘭盆会」と言い過ぎです。このように詠んでみました。
 
9 冷や水は隅に追われてビヤホール 峰 生
句意がよく分かりません。悪しからず。
 
10 ふるさとの駅は無人や百日紅 いなご
いい句です。故里もすっかり変わり無人駅となる。その駅に今年も百日紅が
咲き乱れている。
 
11 鰯雲大漁旗がのぼりけり  泉 
<添削> 峰雲にいとどはためく大漁旗
「鰯雲」「大漁旗」は付くのでこのように詠んでみました。
 
12 笑う歯とゼッケン白し夏球児 楓 花
<添削> 笑ふ歯の真白や夏の甲子園
「夏球児」という季語はありません。
 
13 場所替えて隠し置く壺蟻の道 コスモス
句意が今ひとつよく分かりません。悪しからず。
 
14 秋の灯やセピア色した遠い日に  泉 
<添削> 秋の灯やセピア色せる古写真
情景がはっきりしないのでこのように詠んでみました。
 
15 暑き日々うるさく鳴くや蝉時雨 ゆづき
<添削> 全島要塞蝉しぐれ蝉しぐれ
「暑き日」「蝉時雨」夏の季語で季重ねです。原句は言い過ぎているので
「うるさく鳴く」を省略しました。
 
16 帰省子の準備整う三日前 さつき
いい句です。初めて帰省した子供が早くも帰る。そのためにせっせと準備する
母心。
 
17 夏座敷寝顔よく似し従兄弟かな いなご
いい句です。かな止めの場合、「夏座敷」で切るのはどうかなと思い季語を
替えてみました。
<添削> 花茣蓙の寝顔よく似し従兄弟かな
 
18 雲の峰清流に足浸しゐる 浩 風
いい句です。冷たい清流に足を浸かって湧き上がる入道雲をみつめている。
心地よいひととき。
 
19 夕焼けや釣り船あまた帰路につく 石の花
<添削> いっせいに釣船帰る夏の雲
調子がよくないのでこのように詠んでみました。
 
20 空蝉のしがみつきをる童子仏 まこと
いい句です。空蝉を童子仏がやさしく抱いている可憐な句。
 
21 灯籠を流す素足の三姉妹 彰 子
私の句です。小田町の灯籠祭りでの句、。白い素足に目が止まりました。
 
22 街がわくサンバのリズム夏祭り ゆづき
<添削> 玉の汗流るるサンバ踊りかな
<添削> 炎ゆる日のサンバ踊りの城下町
調子がよくないのでこのように詠んでみました。
 
23 炎昼下からくり時計伸び縮 媛 香
<添削> 炎昼の伸びるからくり時計かな
「炎昼」とは「夏の昼」のことです。したがって「炎昼下」という季語はありません。
「炎天下」という季語はあります。
 
24 丸い月出てゐる茅の輪くぐりかな 彰 子
私の句です。茅の輪くぐりの夜に丸い月が上がっていました。
 
25 送り火に願いを込めて星仰ぐ 菜の花
句意がよく分かりません。悪しからず。
 
26 憂きことはさらりと捨てん百日紅 コスモス
いい句です。憂きことにはこだわらずさらりと捨てて前向きに生きていきましょう。
百日紅は今日もきれいに咲き誇っています。
 
27 白い指艶めき揃う盆踊り 峰 生
<添削> 手をあげて足をあげゆく阿波踊
説明的になるので「艶めき揃う」は省略し簡明に詠んでみました。
 
28 夕霞み赤灯台に艀行く 石の花
<添削> 夕凪の赤灯台に艀船
調子がよくないので「夕霞み」は「夕凪の」に「艀行く」は「艀船」に替え
てみました。
 
29 高ぶりや我が心にも打ち水を 楓 花
いい句です。常に自制心を失わず自省したいものです。
<添削> 高ぶ1るや我が心にも打ち水を
 
30 吾が影といく雲水の夏修行 彰 子
私の句です。雲水の厳しい夏修行が始まりました。引き締まった顔をして
います。
 
31 蛍見に屋根付橋を渡りけり 竹 豪
いい句です。屋根付橋を渡って蛍狩りとは風情があっていいですね。蛍は沢山いましたか。
 
32 朝顔の今朝三輪と起さるる まこと
いい句です。普段は寝起きの悪いご主人ですが、朝顔が咲いたとの声に起き出し
てくる、朝顔の大好きなご主人。微笑ましい光景。
 
33 空蝉の四・五個もありぬ裏参道 コスモス
いい句です。「空蝉」と「裏参道」の取り合わせがいいですね。
 
34  汗光る首にきらめくネックレス 哲 朗
いい句です。「光る」「きらめく」とあるので「汗光る」を「汗かくや」にしてみました。
<添削> 汗かくや首にきらめくネックレス
 
35  朝焼けに明鏡止水夏の湖(うみ) 峰 生
 「朝焼け」「夏の湖」は夏の季語で季重ねになります。また「明鏡止水」とは澄み切った
心境のことを言います。考えてみてください。
 
36 終戦日兵士の碑文読み返し さつき
<添削> 朝涼や兵士の碑文読み返し
<添削> 終戦の日や大筆の碑文読む
「終戦日」「兵士」は付き過ぎです。どちらかを替えたい。
 
37 冷奴平凡というありがたさ いなご
いい句です。冷奴は夏の最高の食事です。冷奴を食べながら平凡がよいと
しみじみ思うのである。
 
38 父の忌や八月十四日巡りくる 媛 香
季語がありません。考えてみて下さい。
 
39 放流のすくい取りして山女魚焼く 浩 風
<添削> 雨降ってくるらし山女魚焼いてをり
説明的なのでこのように詠んでみました。
 
40 県民の期待を担う甲子園 ゆづき
<添削> 期待背に重たし夏の甲子園
季語がありません。
 
41  玉の汗皆応援したき甲子園 菜の花
<添削> 応援の汗のしたたる甲子園
中九になっています。夏の高校野球は、佐賀北が劇的な満塁ホ−ムランで逆転し
優勝。感動しました。
 
42 文机一枚白き半夏生 さつき
「一枚白き」とは何のことでしょうか。句意がよく分かりません。悪しからず。
 
43 うたた寝に途切れ途切れの蝉時雨 千 柳
<添削> うたた寝に途切れ途切れの蝉の声
私には「蝉時雨」と「途切れ途切れ」とがしっくりしません。「蝉の声」と素直に
詠んでみました。
 
44 お施餓鬼をもらひし朝の二人して  泉 
私は「施餓鬼」とは「飢餓に苦しんで災いをなす無縁の亡者の霊に飲食を施す法会」
のことだと思っていますので、「施餓鬼をもらう」ということが分かりません。悪しか
らず。
 
45 夏休み子の一人旅迎えたり 浩 風
<添削> 休暇果つ一人旅立つ子の笑顔
調子がよくないのでこのように詠んでみました。
 
46 八十路まであと一息と鰻食ぶ まこと
いい句です。男性の場合は80歳まで元気で生きるのが一つの願望。鰻を食べ
精をつけていつまでも長生きしてください。
 
47 端居してゲームに夢中子供たち 哲 朗
「端居」とは暑かった日の夕方などに、涼しい風の入る縁側に座を占めてくつろぐことです。
考えてみてください。
 
48 ペルセウスやっと見つけた流れ星 竹 豪
<添削> ペルセウス座のあまたなる流れ星
「ペルセウス」だけで星座のことになるのでしょうか。私は知識がありません。
原句では思いが強く説明的です。
 
49 ジェット機の航跡長し原爆忌 楓 花
いい句です。定期便のジェット機が長い飛行機雲を残しながら飛んでいく。
今日は原爆記念日。平和のありがたさをしみじみ想うのである。
 
50 田草取り車の陰で子ら遊ぶ そらまめ
いい句です。農作業は大変です。子供にかまっておられないが、子供たちは
車のわずかな影で夢中に遊んでいる、田園での一こま。
 
51 炎天下赤信号の長きこと 哲 朗
詩情に欠けると思います。考えてみて下さい。