平成19年 9月1日〜平成19年 9月20日 投句分
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互 選 句
第 33 回 披 講
    9月分 添 削 & 寸 評
 
 9月は例年になく大変厳しい残暑がつづきましたが、夏ばて
はしませんでしたか。彼岸の中日を過ぎるとさすがに朝夕は
涼しくなってきました。早く体調を整えて句作りに励んでください。
 今月もいい句が沢山ありました。ご同慶の至りです。
 相変わらずの添削と寸評をします。私の意をご了承ください。
   
番号       添  削  &  寸  評 俳 号
1 雨あとのにわかにトンボ増えにけり 浩 風
<添削> 雨止むやにわかに増ゆる赤とんぼ
「雨あと」とは「地上に残る雨のあと」のこと。「雨あと」を
「雨止む」に替えてみました。
 
2 秋の海生きる男の心意気  泉 
<添削> 鰹釣る生きる男の心意気
具象性に欠けるのでこのように詠んでみました。
 
3 暑き夏次々記録破りをり 竹 豪
<添削> 牛啼くや記録破りの暑さにて
句意があいまいなのでこのように詠んでみました。。
 
4 旭うけ城にかかりし秋の虹 浩 風
<添削> 朝日さす城にかかりし秋の虹
調子がよくないので「旭うけ」を「朝日さす」に替えてみました。
 
5 青田風夫婦遍路の若かりし 媛 香
<添削> 若夫婦ゆく辺境の遍路道
「青田風」は夏の季語、「遍路」は春の季語です。
 
6 美術館出でて聞こえる秋に蝉 哲 朗
いい句です。心地よい情景。
<添削> 美術館出でて聞こゆる秋の蝉
 
7 友病みて碁盤の埃秋暑し  峰 生
<添削> 病む友の碁盤の埃秋暑し 
友の碁盤か自分の碁盤かあいまいなので「病む友の」と
断定しました。
 
8 秋涼や寄せては返す波の音 いなご
いい句です。初秋の涼しさが伝わってきます。
 
9 月見会男料理の旨しこと さつき
<添削> 無骨なる男料理の月見会
「旨し」は省略。料理よりお酒、宴会は盛り上がる。
 
10 婆さまの一人住まいや秋簾 まこと
いい句です。婆さまはいたって元気。
 
11 十五夜の団子妻との五十年 彰 子
私の句です。妻の得意の団子が美味しい。感慨に耽る。
 
12 観覧車てっぺんにあり天高し コスモス
<添削> 観覧車のてっぺんに居る鰯雲
「観覧車てっぺん」では意味不明なのでこのように詠んで
みました。
 
13 夏終る山河も海も静かなり 哲 朗
いい句です。大景を上手く詠んでいます。
 
14 鳥威しここへおいでと手招きす  泉 
いい句です。微笑ましい光景。
 
15 新調の電波時計や涼新た まこと
いい句です。電波時計を買ってご満悦。涼気が心地よい。
 
16 新米を炊きし妻の自慢かな 石の花
いい句です。今日は新米で炊きあがりは上々。妻はご機嫌。
 
17 夏休み縄跳び百回ポニーテール 媛 香
 夏休み|縄跳び百回|ポニーテール|と
三段切れになっていて調子がよくない。考えてみてください。
 
18 ほほえみは今年も子等のぶどう便  峰 生
いい句です。良い子供をもって幸せ。感謝。
 
19 山々を大きく跨ぐ秋の虹 哲 朗
いい句です。雄大かつ美しい光景。
 
20 ゆっくりと読みたき書あり夏座敷 楓 花
いい句です。好きな本だけど暑くて読む気がしない。もう少し
涼しくなってからゆっくり読もう。
 
21 柿熟るる竹馬の友よ今いずこ 千 柳
いい句です。友人とよく柿を取って食べたものである。音信不通
になっている友を懐かしむのである。
 
22 満月を車窓にはめて旅戻る コスモス
いい句です。旅の終わり、満月を眺めながら家路につく。
<添削> 満月を車窓にはめて旅の果
 
23 熱中症老いも若きも選ばずに 竹 豪
「日射病」は夏の季語ですが、「熱中症」は季語になっていま
せん。また詩情に欠けるように思います。考えてみてください。
 
24 秋空や月の探査にかぐや発つ そらまめ
いい句です。「かぐや」に夢を託しましょう。
<添削> 秋澄むや月の探査にかぐや発つ
 
25 後口に一匙残し西瓜食う 千 柳
いい句です。細かい心遣い。美味しそうですね。
 
26 さっと来てさっと飛び行く山の霧 いなご
いい句です。高山での霧は瞬時に変わります。素晴らしい光景。
 
27 バスツアー行く先々の曼珠沙華 菜の花
いい句です。好天に恵まれ赤く燃える曼珠沙華に堪能する。
 
28 都会の子夕焼雲とにらめっこ さつき
<添削> 夕焼くる雲みつめゐる都会の子
「にらめっこ」はどうかと思いましたので素直に詠んでみました。
 
29 息せきて登る石段萩の花 浩 風
いい句です。萩寺でしょうか萩が咲き乱れていて美しい。
 
30 熱中症気に掛け乍ら野草刈り 竹 豪
<添削> 日射病気遣いながら野草刈る
「日射病」は夏の季語ですが、「熱中症」は季語になっていません。
 
31 故里は遠しどんぐり手のひらに 彰 子
私の句です。どんぐりを手に故里での少年時代を偲ぶ。
 
32 唐突の総理辞任や捨案山子 そらまめ
いい句です。時代背景の句は作りにくいものです。季語が
おもしろい。
 
33 寿の字ある敬老の日のお饅頭 いなご
いい句です。お饅頭が美味しかったことでしょう。いつまでも
お元気で。
 
34 合唱曲「秋のスピイド」熱唱秋深む 媛 香
句意がよく分かりません。考えてみてください。
 
35 天高し躍る青春ボール追ふ  泉 
句意がよく分かりません。考えてみてください。
 
36 秋刀魚焼く匂いに急ぐ家路かな そらまめ
いい句です。我が家も秋刀魚であろうか。お腹が空いてくる。
 
37 面河渓一足早い紅葉狩り 菜の花
いい句です。面河渓は紅葉の名所。紅葉には少し早いが美しい。
 
38 黒きほど暗赤色の吾亦紅(われもこう) さつき
いい句です。枝先に暗赤色の無数の花をつける。気ままで寂し
げな花を色だけに着目して表現。
 
39 敬老日祝饅頭に手紙添え 菜の花
いい句です。子供からのいたわりの手紙。ありがたい。
 
40 蟋蟀に今宵も鳴けと水を撒く 千 柳
<添削> 蟋蟀に今宵も鳴けと手を合わす
「蟋蟀」「水を撒く」は夏の季語です。
 
41 過疎の島ようおいでたと心太 まこと
いい句です。心より歓迎し手作りの心太をふるまう。
 
42 咲き初めた芙蓉見て欲し今朝の庭 峰 生
<添削> 咲き初めし芙蓉に触るる朝餉前
気持ちを抑えかつ具象的に詠んでみました。
 
43 虫の声聞き始めたる庭の隅 石の花
いい句です。厳しい残暑がつづきますが、虫が鳴き
始める。季節は確実にやってくるのである。
 
44 大甕の金魚しみじみ見て居たり 楓 花
いい句です。自由に動く金魚に自分を重ねて思いめぐらす。
 
45 ペタル踏む星を従え月を連れ コスモス
いい句です。一日の仕事を終え家路を急いでいるのでしょう。
調子のいい句です。
 
46 虫の音の年ごと減りし温暖化 石の花
いい句です。自然破壊が進んでいます。人ごとではありません。
 
47 夜市果つざわめきのせて終電車 楓 花
いい句です。夜市は終わったが、電車の中はまだざわめきが
残っている。
 
48 秋澄むや粉ひき唄の遠くより 彰 子
私の句です。奥祖谷で散策したときの一句。