
| 9月分 添 削 & 寸 評 | ||
| 9月は例年になく大変厳しい残暑がつづきましたが、夏ばて | ||
| はしませんでしたか。彼岸の中日を過ぎるとさすがに朝夕は | ||
| 涼しくなってきました。早く体調を整えて句作りに励んでください。 | ||
| 今月もいい句が沢山ありました。ご同慶の至りです。 | ||
| 相変わらずの添削と寸評をします。私の意をご了承ください。 | ||
| 番号 | 添 削 & 寸 評 | 俳 号 |
| 1 | 雨あとのにわかにトンボ増えにけり | 浩 風 |
| <添削> 雨止むやにわかに増ゆる赤とんぼ | ||
| 「雨あと」とは「地上に残る雨のあと」のこと。「雨あと」を | ||
| 「雨止む」に替えてみました。 | ||
| 2 | 秋の海生きる男の心意気 | 泉 |
| <添削> 鰹釣る生きる男の心意気 | ||
| 具象性に欠けるのでこのように詠んでみました。 | ||
| 3 | 暑き夏次々記録破りをり | 竹 豪 |
| <添削> 牛啼くや記録破りの暑さにて | ||
| 句意があいまいなのでこのように詠んでみました。。 | ||
| 4 | 旭うけ城にかかりし秋の虹 | 浩 風 |
| <添削> 朝日さす城にかかりし秋の虹 | ||
| 調子がよくないので「旭うけ」を「朝日さす」に替えてみました。 | ||
| 5 | 青田風夫婦遍路の若かりし | 媛 香 |
| <添削> 若夫婦ゆく辺境の遍路道 | ||
| 「青田風」は夏の季語、「遍路」は春の季語です。 | ||
| 6 | 美術館出でて聞こえる秋に蝉 | 哲 朗 |
| いい句です。心地よい情景。 | ||
| <添削> 美術館出でて聞こゆる秋の蝉 | ||
| 7 | 友病みて碁盤の埃秋暑し | 峰 生 |
| <添削> 病む友の碁盤の埃秋暑し | ||
| 友の碁盤か自分の碁盤かあいまいなので「病む友の」と | ||
| 断定しました。 | ||
| 8 | 秋涼や寄せては返す波の音 | いなご |
| いい句です。初秋の涼しさが伝わってきます。 | ||
| 9 | 月見会男料理の旨しこと | さつき |
| <添削> 無骨なる男料理の月見会 | ||
| 「旨し」は省略。料理よりお酒、宴会は盛り上がる。 | ||
| 10 | 婆さまの一人住まいや秋簾 | まこと |
| いい句です。婆さまはいたって元気。 | ||
| 11 | 十五夜の団子妻との五十年 | 彰 子 |
| 私の句です。妻の得意の団子が美味しい。感慨に耽る。 | ||
| 12 | 観覧車てっぺんにあり天高し | コスモス |
| <添削> 観覧車のてっぺんに居る鰯雲 | ||
| 「観覧車てっぺん」では意味不明なのでこのように詠んで | ||
| みました。 | ||
| 13 | 夏終る山河も海も静かなり | 哲 朗 |
| いい句です。大景を上手く詠んでいます。 | ||
| 14 | 鳥威しここへおいでと手招きす | 泉 |
| いい句です。微笑ましい光景。 | ||
| 15 | 新調の電波時計や涼新た | まこと |
| いい句です。電波時計を買ってご満悦。涼気が心地よい。 | ||
| 16 | 新米を炊きし妻の自慢かな | 石の花 |
| いい句です。今日は新米で炊きあがりは上々。妻はご機嫌。 | ||
| 17 | 夏休み縄跳び百回ポニーテール | 媛 香 |
| 夏休み|縄跳び百回|ポニーテール|と | ||
| 三段切れになっていて調子がよくない。考えてみてください。 | ||
| 18 | ほほえみは今年も子等のぶどう便 | 峰 生 |
| いい句です。良い子供をもって幸せ。感謝。 | ||
| 19 | 山々を大きく跨ぐ秋の虹 | 哲 朗 |
| いい句です。雄大かつ美しい光景。 | ||
| 20 | ゆっくりと読みたき書あり夏座敷 | 楓 花 |
| いい句です。好きな本だけど暑くて読む気がしない。もう少し | ||
| 涼しくなってからゆっくり読もう。 | ||
| 21 | 柿熟るる竹馬の友よ今いずこ | 千 柳 |
| いい句です。友人とよく柿を取って食べたものである。音信不通 | ||
| になっている友を懐かしむのである。 | ||
| 22 | 満月を車窓にはめて旅戻る | コスモス |
| いい句です。旅の終わり、満月を眺めながら家路につく。 | ||
| <添削> 満月を車窓にはめて旅の果 | ||
| 23 | 熱中症老いも若きも選ばずに | 竹 豪 |
| 「日射病」は夏の季語ですが、「熱中症」は季語になっていま | ||
| せん。また詩情に欠けるように思います。考えてみてください。 | ||
| 24 | 秋空や月の探査にかぐや発つ | そらまめ |
| いい句です。「かぐや」に夢を託しましょう。 | ||
| <添削> 秋澄むや月の探査にかぐや発つ | ||
| 25 | 後口に一匙残し西瓜食う | 千 柳 |
| いい句です。細かい心遣い。美味しそうですね。 | ||
| 26 | さっと来てさっと飛び行く山の霧 | いなご |
| いい句です。高山での霧は瞬時に変わります。素晴らしい光景。 | ||
| 27 | バスツアー行く先々の曼珠沙華 | 菜の花 |
| いい句です。好天に恵まれ赤く燃える曼珠沙華に堪能する。 | ||
| 28 | 都会の子夕焼雲とにらめっこ | さつき |
| <添削> 夕焼くる雲みつめゐる都会の子 | ||
| 「にらめっこ」はどうかと思いましたので素直に詠んでみました。 | ||
| 29 | 息せきて登る石段萩の花 | 浩 風 |
| いい句です。萩寺でしょうか萩が咲き乱れていて美しい。 | ||
| 30 | 熱中症気に掛け乍ら野草刈り | 竹 豪 |
| <添削> 日射病気遣いながら野草刈る | ||
| 「日射病」は夏の季語ですが、「熱中症」は季語になっていません。 | ||
| 31 | 故里は遠しどんぐり手のひらに | 彰 子 |
| 私の句です。どんぐりを手に故里での少年時代を偲ぶ。 | ||
| 32 | 唐突の総理辞任や捨案山子 | そらまめ |
| いい句です。時代背景の句は作りにくいものです。季語が | ||
| おもしろい。 | ||
| 33 | 寿の字ある敬老の日のお饅頭 | いなご |
| いい句です。お饅頭が美味しかったことでしょう。いつまでも | ||
| お元気で。 | ||
| 34 | 合唱曲「秋のスピイド」熱唱秋深む | 媛 香 |
| 句意がよく分かりません。考えてみてください。 | ||
| 35 | 天高し躍る青春ボール追ふ | 泉 |
| 句意がよく分かりません。考えてみてください。 | ||
| 36 | 秋刀魚焼く匂いに急ぐ家路かな | そらまめ |
| いい句です。我が家も秋刀魚であろうか。お腹が空いてくる。 | ||
| 37 | 面河渓一足早い紅葉狩り | 菜の花 |
| いい句です。面河渓は紅葉の名所。紅葉には少し早いが美しい。 | ||
| 38 | 黒きほど暗赤色の吾亦紅(われもこう) | さつき |
| いい句です。枝先に暗赤色の無数の花をつける。気ままで寂し | ||
| げな花を色だけに着目して表現。 | ||
| 39 | 敬老日祝饅頭に手紙添え | 菜の花 |
| いい句です。子供からのいたわりの手紙。ありがたい。 | ||
| 40 | 蟋蟀に今宵も鳴けと水を撒く | 千 柳 |
| <添削> 蟋蟀に今宵も鳴けと手を合わす | ||
| 「蟋蟀」「水を撒く」は夏の季語です。 | ||
| 41 | 過疎の島ようおいでたと心太 | まこと |
| いい句です。心より歓迎し手作りの心太をふるまう。 | ||
| 42 | 咲き初めた芙蓉見て欲し今朝の庭 | 峰 生 |
| <添削> 咲き初めし芙蓉に触るる朝餉前 | ||
| 気持ちを抑えかつ具象的に詠んでみました。 | ||
| 43 | 虫の声聞き始めたる庭の隅 | 石の花 |
| いい句です。厳しい残暑がつづきますが、虫が鳴き | ||
| 始める。季節は確実にやってくるのである。 | ||
| 44 | 大甕の金魚しみじみ見て居たり | 楓 花 |
| いい句です。自由に動く金魚に自分を重ねて思いめぐらす。 | ||
| 45 | ペタル踏む星を従え月を連れ | コスモス |
| いい句です。一日の仕事を終え家路を急いでいるのでしょう。 | ||
| 調子のいい句です。 | ||
| 46 | 虫の音の年ごと減りし温暖化 | 石の花 |
| いい句です。自然破壊が進んでいます。人ごとではありません。 | ||
| 47 | 夜市果つざわめきのせて終電車 | 楓 花 |
| いい句です。夜市は終わったが、電車の中はまだざわめきが | ||
| 残っている。 | ||
| 48 | 秋澄むや粉ひき唄の遠くより | 彰 子 |
| 私の句です。奥祖谷で散策したときの一句。 | ||