5月分 選句と披講
 5月は新緑の美しい気節。
木々を渡る風は爽やかで朝夕の散歩に一番よい時季です。
ゴールデンウイークは好天に恵まれ、開通10周年を迎えたしまなみ海道は
休日特別割引もあって大変込み合ったようです。
  
番号     特選 5句
緑陰に来てはしゃぎゐる雀かな 石の花
   雀も緑陰が心地よいのであろう。はしゃいでいるのである。
10 取り寄せの新茶母から貰いけり 楓 花
   御茶どころから届いたばかりの高価な新茶を貰う。幾つになっても母心。
   ありがたいことである。
11 麦の穂や白装束の見え隠れ いなご
   麦が熟れる頃になると遍路が多くなる。麦の穂と白装束との
   コントラストが美しい。
26 葉桜や園児の作る泥団子 いなご
   葉桜の陰で園児が夢中に泥団子を作っている。微笑ましい光景。
32 俎板にどんとのったる初鰹 哲 朗
   初鰹が俎板にどんとのっている。たたきにするか腕のみせどころ。
   「どんとのったる」が良い。
 
番号     入選  20句
るんるんとお部屋のアート衣替 
特攻の文に涙す薄暑かな 浩 風
蒔かぬ種庭一面の野草かな 千 柳
退院や窓いっぱいに風光る さつき
13 青嵐スズメ踊りて飛びたちぬ 菜の花
15 長崎の夜景の人出初夏の風 浩 風
21 初夏の鬼の洗濯岩に佇つ 浩 風
22 虎杖(いたどり)を腕いっぱいに懐かしむ
23 夏燕駅舎に戻り宙返り 媛 香
24 扁額の文字読み難し楠若葉 コスモス
25 山里の天中に舞う鯉のぼり 哲 朗
 (添削) 山里の中天に舞ふ鯉のぼり
28 むくむくと山動くかに樟若葉 まこと
29 庭陰で十薬の花ひそやかに 石の花
31 十薬の十字の花や清々し 石の花
34 すっぽりと若葉をかぶる大師堂 哲 朗
35 若葉風お茶席巡る一日かな さつき
36 夏めくやブラウス脱いで腰に巻き まこと
37 芝桜今が見頃とメールあり 菜の花
38 初夏や酒蔵並ぶ清き町 楓 花
41 打抜きの水湧く町や花水木 いなご
  
番号     問題句
果物やリンゴアレルギー蕁麻疹
    「果物」「リンゴ」「アレルギー」「蕁麻疹」と言い過ぎ。 
17 麦熟るる黄金平野コンバイン
   「麦熟るる」「黄金平野」「コンバイン」と言い過ぎ。   
30 焼き畑や武者絵が泣く麦の秋
    「焼き畑つくる」「畑焼く」は春の季語で季重ねになります。
    中六です。
45 名も知れぬ花鉢一杯にこぼれ咲き
   「花」「鉢」「咲き」と言い過ぎ。
   季語がありません。
平成 21年 5月 1日〜平成 21年5月20日 投句分
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互 選 句
第 53回 披 講