平成 21年11月 1日〜平成 21年11月20日 投句分
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互 選 句
  11月分選句と披講
 立冬が過ぎ、朝夕は肌寒くなりました。紅葉も里におり、
葉がしきりに散っています。いま、山茶花が真っ盛り。
気節の変化に眼を凝らし、微妙な移ろいを句に詠みましょう。
 秋の季語に「鳥渡る・渡り鳥」があります。これは秋になって渡ってくる鳥、
反対に帰ってゆく鳥もともに渡り鳥というが、俳句では渡ってくる鳥
「がん、かも、つぐみ等」を渡り鳥としてつくります。
似たような季語で、春の季語に「鳥帰る・帰る鳥」がありますが、
秋、冬の侯に日本に渡来し、越冬して北方の繁殖地に帰ることをいいます。
 
番号    特選 5句 俳 号
8 藁塚は幼きころの隠れ宿 さつき
  農村で育ったのであろう。藁塚を隠れ家として遊んでいた。郷愁にかられる。
11 吊し柿甘くなあれと揉みにけり いなご
  私も幼少のころよく揉んだものである。懐かしく思い出す。
12 白菊を愛でて碁敵(かたき)帰りけり まこと
  自然を愛し、礼義正しいよき碁敵。
15 縁側に湯飲み二つや菊日和 いなご
  日向ぼこしている老夫婦。いつまでも元気で仲良く。
33 菊花展武将は刀忘れ さつき
  菊花展武将は刀忘れ
  着眼がおもしろい。佳句。
 
番号    入選 20句 俳 号
1 夕闇に薄日漏れくる冬の空 石の花
3 菊花展巡りし後の湯浴(あ)みかな  越
5 鉦たたきちょっと遠慮し庭を掃く 峰 生
9 映る山揺らして渡る通し鴨 コスモス
13 保津峡を下る喚声紅葉晴 浩 風
14 菊薫る記念硬貨の軽きこと 媛 香
17 雲龍の八方睨み秋深む 浩 風
19 併走の舟の焼き栗買いにけり 浩 風
22 友無事と今年も届くスダチかな 菜の花
26 携帯は圏外表示山粧ふ そらまめ
28 野菜畑やっと芽が出た冬日和 そらまめ
29 木枯らしに雲切れ切れとなりにけり いなご
31 里芋の泥つきしまま道の駅 媛 香
34 かさこそと落ち葉ふみふみ七五三
37 名水を懐きし山の冬霞 コスモス
38 鵙高音我の不精を叱りつけ 哲 朗
40 秋時雨向こう三軒灯のともり さつき
41 願ぎ(ねぎ)事を絵馬に託して神の留守 まこと
42 まず絵馬に一願託し七五三 哲 朗
44 恙なく湯豆腐囲む夕餉かな まこと
 
番号    問題句など
6 いわし雲はしゃぐ子らのわらべ唄
    中六です。
21 風冴ゆる夜空を射貫く流れ星      
   「風冴ゆる」は冬の季語。「流れ星」は秋の季語です。
20 雨もよう幟りたわめて大師堂   
   「幟りたわめて」は「幟りをたわむ」ではないでしょうか?。
第 59回 披 講