11月分選句と披講 |
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立冬が過ぎ、朝夕は肌寒くなりました。紅葉も里におり、 |
葉がしきりに散っています。いま、山茶花が真っ盛り。 |
気節の変化に眼を凝らし、微妙な移ろいを句に詠みましょう。 |
秋の季語に「鳥渡る・渡り鳥」があります。これは秋になって渡ってくる鳥、 |
反対に帰ってゆく鳥もともに渡り鳥というが、俳句では渡ってくる鳥 |
「がん、かも、つぐみ等」を渡り鳥としてつくります。 |
似たような季語で、春の季語に「鳥帰る・帰る鳥」がありますが、 |
秋、冬の侯に日本に渡来し、越冬して北方の繁殖地に帰ることをいいます。 |
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番号 |
特選 5句 |
俳 号 |
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8 |
藁塚は幼きころの隠れ宿 |
さつき |
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農村で育ったのであろう。藁塚を隠れ家として遊んでいた。郷愁にかられる。 |
11 |
吊し柿甘くなあれと揉みにけり |
いなご |
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私も幼少のころよく揉んだものである。懐かしく思い出す。 |
12 |
白菊を愛でて碁敵(かたき)帰りけり |
まこと |
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自然を愛し、礼義正しいよき碁敵。 |
15 |
縁側に湯飲み二つや菊日和 |
いなご |
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日向ぼこしている老夫婦。いつまでも元気で仲良く。 |
33 |
菊花展武将は刀忘れおり |
さつき |
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菊花展武将は刀忘れをり |
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着眼がおもしろい。佳句。 |
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番号 |
入選 20句 |
俳 号 |
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1 |
夕闇に薄日漏れくる冬の空 |
石の花 |
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3 |
菊花展巡りし後の湯浴(あ)みかな |
越 |
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5 |
鉦たたきちょっと遠慮し庭を掃く |
峰 生 |
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9 |
映る山揺らして渡る通し鴨 |
コスモス |
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13 |
保津峡を下る喚声紅葉晴 |
浩 風 |
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14 |
菊薫る記念硬貨の軽きこと |
媛 香 |
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17 |
雲龍の八方睨み秋深む |
浩 風 |
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19 |
併走の舟の焼き栗買いにけり |
浩 風 |
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22 |
友無事と今年も届くスダチかな |
菜の花 |
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26 |
携帯は圏外表示山粧ふ |
そらまめ |
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28 |
野菜畑やっと芽が出た冬日和 |
そらまめ |
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29 |
木枯らしに雲切れ切れとなりにけり |
いなご |
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31 |
里芋の泥つきしまま道の駅 |
媛 香 |
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34 |
かさこそと落ち葉ふみふみ七五三 |
泉 |
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37 |
名水を懐きし山の冬霞 |
コスモス |
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38 |
鵙高音我の不精を叱りつけ |
哲 朗 |
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40 |
秋時雨向こう三軒灯のともり |
さつき |
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41 |
願ぎ(ねぎ)事を絵馬に託して神の留守 |
まこと |
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42 |
まず絵馬に一願託し七五三 |
哲 朗 |
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44 |
恙なく湯豆腐囲む夕餉かな |
まこと |
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番号 |
問題句など |
6 |
いわし雲はしゃぐ子らのわらべ唄 |
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中六です。 |
21 |
風冴ゆる夜空を射貫く流れ星 |
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「風冴ゆる」は冬の季語。「流れ星」は秋の季語です。 |
20 |
雨もよう幟りたわめて大師堂 |
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「幟りたわめて」は「幟りをたわむ」ではないでしょうか?。 |