平成 24年 8月 1日~平成 24年 8月20日 投句分
花水木選
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互 選 句
番 号 特 選 5 句 俳 号  
10 八十の極暑無聊(ぶりょう)に過ごしけり まこと
禅僧の悟りに似た境地かなと推察しました。
中七の「しょ」「りょ」は拗音(ようおん)です。
  一音と数えますので七音となります。
16 眠気顔テレビくぎづけ蝉時雨  
時差の関係でオリンピックの観戦が深夜から未明に
及び大変でしたが、メダリストの誕生に救われました。季語が
適切だと思います。
22 らっきょうを洗ふ一日となりにけり まこと  
家の中 さらに指からの強い匂いに包まれている作者の
様子がわかります。自分で漬けたラッキョは美味しいです。
25 雲の峰仰ぎつ踊るフラダンス  楓 花  
山の上に湧き立つ入道雲を見つつフラダンスを踊って
おられる健康な暮らし振りが羨ましいです。
34 心太音も残らず食いにけり 哲 朗  
中七で心太を食べている景がよくわかります
「音も残らず」とは見事です。
番 号 入 選 20 句 俳 号  
待ちかねた畑のコスモス一番花 楓 花  
鉱内の体験コーナ涼しかり 浩 風  
大輪の花火の中に花火あり 哲 朗  
寂しかり呼べど戻らぬ赤とんぼ 旅 風  
いきなりの雷雨に慌て軒を借る 石の花  
風の盆ゆるりと坂を胡弓の音(ね)  
12 羽繕い終えて飛び立つ秋燕 媛 香  
14 夕暮れに稲妻はしる里の道 石の花  
17 南吹くガキ大将は黄泉の国 旅 風  
18 盆に来し子の挨拶のおとなびて 浩 風  
19 もくもくと仁王の如き入道雲 菜の花  
23 蝉しぐれ浴びて早朝1,2,3 髙 越  
24 カルストや10度涼しき尾根の路 そらまめ  
26 美術館出でて一歩に蝉しぐれ 哲 朗  
29 天染めて音のみ聞こゆ遠花火 媛 香  
35 帰省子と連れだちてゆく渡海船 浩 風  
36 落雷に肝を冷やしてかがみこむ 石の花  
37 うたたねの耳に分け入る蝉しぐれ 旅 風  
38 クルリンと曲がったナスも取り入れる そらまめ  
39 夏休み何処へ行っても子等の声 菜の花
 
花水木先生のコメント
俳句特有の技法に句切れがあります。
例えば 「滑床やスリル満点滝すべり」
の句意は滑床に行って滝すべりを楽しみましたですから、
上五のやで切っての二句一章でなく 「やをのとし」
「滑床のスリル満点滝すべり」 の一句1章とすれば十七音を
一息に詠み切り句柄が大きくなると思います。
 ☆☆☆ 花水木 ☆☆☆
第 92 回 披 講