花水木先生のコメント | |
今回は季重ね・字余りが多く見受けられます。 | |
季重なりは、焦点がぼける・季違いは、異なる季節を詠んで | |
いるので夏の句か秋の句か 混乱するので極力避けた方がよいと | |
言われています。やむを得ず使用したい場合が時にはあります。 | |
その際は季語に主従を持たせればと思います。 | |
8番 コスモスが一輪咲きて汗ぬぐう | |
コスモス(秋) 汗(夏) | |
季節の変わり目には時々ありますが この句では「汗」を他の表現に | |
すれば佳句になります | |
20番 草刈機かまきり逃げるバッタ飛ぶ | |
草刈機(夏) カマキリ(秋) バッタ(秋) 季重ね | |
季語が3つ入ってしまいましたが 草刈りの作業の様子を旨く詠んでいる | |
ユニークな句になっていると思います | |
山口素堂の「目には青葉山ほととぎす初鰹」の句を思い出しました | |
21番 雷鳴に小鳥驚き飛び立つや | |
雷鳴(夏) 小鳥(秋) 季重ね | |
季節の変わり目には珍しくないです どちらかを主にして詠まれているかです | |
24番 天高く何処まで続く飛行機雲 | |
下五(字あまり)飛行雲でいかがかな | |
下五の字余りは許容の範囲内ですが正確に表現されると良いと思います | |
26番 新涼や暦につけし線と丸 | |
新涼(秋) 暦(冬) 季重ね | |
季節の変わり目には珍しくないです どちらかを主にして詠まれているかです | |
30番 老夫婦草むらで語らい虫の声 | |
中七が字余りです | |
中七を「語る草むら」としたいです | |
35番 えのころが庭の主なるわが狭庭 | |
えのころ(子犬)のことです | |
誤用されているので"えのころ草"(えのころ) と詠ませればいかがですか | |
38番 にがうりのまだ残りたる二三かな | |
二つ三つ いかがですか | |
「かな」で強調するほどの事ではないので | |
直せば佳句になります | |
☆☆☆ 花水木 ☆☆☆ |
番 号 | 特 選 5 句 | 俳 号 | |
6 | 石鎚山(いしづち)の黒き山像星月夜 | 髙 越 | |
道後平野より眺める石鎚山と瓶ケ森笹ヶ峰と続く山容を | |||
上手に詠まれていて季語がピッタリです | |||
19 | 酔う友と軍歌空しき敬老日 | 峰 生 | |
職場の上司の中国戦線でご苦労された話しに涙なしに軍歌は | |||
歌えないと聞きましたが敬老日は特別な感懐があります | |||
20 | 草刈機かまきり逃げるバッタ飛ぶ | そらまめ | |
季語が3つ入ってしまいましたが 草刈りの作業の様子を | |||
旨く詠んでいるユニークな句になっていると思います | |||
山口素堂の「目には青葉山ほととぎす初鰹」の句を思い出しました | |||
25 | 老い初めて至福の目覚め今朝の秋 | 石の花 | |
夜中に何度もトイレに行き朝から頭の重い人からは | |||
羨ましいですね | |||
37 | 吹き過ぐる一陣の風秋袷 | 石の花 | |
これぞ俳句とまるで見えを切っているようです 整った佳句です | |||
番 号 | 入 選 20 句 | 俳 号 | |
1 | さわやかと波打つ稲穂豊かなり | 菜の花 | |
2 | 里山の静かに募る霧の中 | 泉 | |
3 | 秋天や無数の鳩は飛び立って | 哲 朗 | |
9 | 眼前の旧転回のとんぼかな | 浩 風 | |
11 | 就活の細身スーツや秋暑し | まこと | |
13 | 水澄て流るる小川虫の声 | 石の花 | |
16 | 秋暑し異常値ありと告ぐる文 | 旅 風 | |
17 | 草叢や日暮れば合唱虫の声 | 媛 香 | |
18 | 長茄子も入れて孫への荷物かな | 楓 花 | |
22 | ひとしきり鳴いて又鳴く法師蝉 | 哲 朗 | |
23 | 飛行機のあかり点滅星月夜 | そらまめ | |
24 | 天高く何処まで続く飛行機雲 | 菜の花 | |
26 | 新涼や暦につけし線と丸 | 髙 越 | |
27 | 顔寄せて香り味わうまくわうり | 楓 花 | |
28 | 目の前に来てひるがえる赤とんぼ | 哲 朗 | |
31 | 向日葵に一声かけて今日はじむ | まこと | |
32 | 稲木米ガスの炎に香りよし | 泉 | |
33 | 山の端に羽毛と見まごふ秋の雲 | 旅 風 | |
34 | 一坪に子らの好みの秋野菜 | まこと | |
36 | 秋きぬと老いにやさしき風が言ふ | 旅 風 | |