花水木先生のコメント | ||
14の句です 冬のイメージには寒い北風が | ||
強く吹く低き雲・日短などがありますが | ||
濁音をつれて来ようとしていると 詠まれた感性は見事です | ||
作句していてこのような言葉を発見したときの歓びは一入(ひとしお)です | ||
番 号 | 特 選 5 句 | 俳 号 | |
2 |
陋屋に二十年(はたとせ)重ね柿ひとつ | 旅 風 | |
閑寂な情景を上手く詠まれていて佳句です | |||
14 | 濁音をたずさえ冬がやってくる | 吾亦紅 | |
冬の景色を濁音と詠まれたのは感性が豊かで見事です | |||
21 | かみ合はぬ言葉抱きて落葉踏む | 吾亦紅 | |
言葉の整合性を求めている身を戸外に出し、解を求めようとして | |||
いる景がよくでています。 季語がよく合っていると思います | |||
28 | 宇宙より船長の声冬の月 | 高 越 | |
冬の夜空に日本人船長の声が、宇宙を飛び交うている景を | |||
上手く詠んでいます。日本人の誇りです | |||
33 | 野路菊の岬に甘きかほりかな | 高 越 | |
潮風にゆれている野路菊のそばに座りたくなく景の切り取りと | |||
切字の扱いが上手く入っていと思います | |||
番 号 | 入 選 20 句 | 俳 号 | |
1 | 銀杏散る歩道埋めたる黄の絨毯 | 媛 香 | |
3 | 山峡に霧の流れに水の音 | 石の花 | |
4 | 波しづか三つ四つ五つ星月夜 | そらまめ | |
5 | 念々の山のあなたの零余子飯 | 吾亦紅 | |
6 | 新雪の石鎚山に夕日映え | 泉 | |
8 | 椎の実や香しきそに母の顔 | 旅 風 | |
13 | 天高く負けじと伸びるクレーン車 | 菜の花 | |
16 | 冬薔薇歓喜ひといろ北の国 | 旅 風 | |
18 | 玉葱の苗植え終えて日の暮るる | 浩 風 | |
22 | 石鎚山(いしづち)に初冠雪やペダル踏む | 高 越 | |
25 | トンネルを出でて目の入る櫨紅葉 | 哲 朗 | |
31 | はらはらと紅葉舞い散る嵯峨野道 | 菜の花 | |
32 | 雲流れ紅葉遙かに石鎚山 | 石の花 | |
35 | ひつじ田や雀群がりひと休み | そらまめ | |
36 | 食パンの蕩けるチーズ冬厨 | 媛 香 | |
お節介マンのちょっと一言 | |||
今回は(吾亦紅)さんの披講と、ちょっと気になる句をご紹介します | |||
7.遠回り桜紅葉に会いたくて | |||
毎年、会いにゆく桜、もちろん花の頃も、 | |||
きっと、紅葉しているはずと逸る気持を胸にーーー。 | |||
作者の姿が見えるようです。 | |||
10.立冬や寿司屋に流る古典ジャズ | |||
着眼が新鮮ですね。店主の趣味のよさに惹かれます。 | |||
そんな寿司屋一度のぞいてみたいものです。 | |||
作者の姿が見えるようです。 | |||
上五を強く、や切れにするときは、下五は軽くながす方が句に | |||
広がりが出るそうです。 | |||
<立冬や寿司屋に古典ジャズながれ> | |||
とするのも一案かと。 | |||
22.石鎚山(いしづち)に初冠雪やペダル踏む | |||
石鎚山に初冠雪はよく目にしますが、ペタル踏むという | |||
清々しさに風まで感じられて、とてもいい句だと思います。 | |||
24.紅葉を露天風呂より独り占め | |||
時折湯をながす音、湯桶を置く響き、風情がありますね。 | |||
紅葉を味わいながらなんて、うらやましいこと。 | |||
30.ラジオから昼のいこいや蕎麦の花 | |||
一作業終えていっぷく、傍らのラジオから、なつかしい | |||
昼のいこいの音楽。一面に広がる蕎麦の花、 | |||
のどかでいい景色ですね。 | |||
33.野路菊の岬に甘きかほりかな | |||
ある晴れた日の岬風景があまねくつたわってきます。 | |||
まるで自分が、そこに佇んでいるような気さえして、 | |||
野路菊の香りが、ただよって来るようです。 | |||