平成 25年11月 1日~平成 25年11月20日 投句分
花水木選
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互 選 句
 花水木先生のコメント
14の句です 冬のイメージには寒い北風が
強く吹く低き雲・日短などがありますが
濁音をつれて来ようとしていると 詠まれた感性は見事です
作句していてこのような言葉を発見したときの歓びは一入(ひとしお)です 
 
番 号 特 選 5 句 俳 号  

陋屋に二十年(はたとせ)重ね柿ひとつ 旅 風
閑寂な情景を上手く詠まれていて佳句です
14 濁音をたずさえ冬がやってくる 吾亦紅  
冬の景色を濁音と詠まれたのは感性が豊かで見事です
21 かみ合はぬ言葉抱きて落葉踏む 吾亦紅  
言葉の整合性を求めている身を戸外に出し、解を求めようとして
  いる景がよくでています。 季語がよく合っていると思います
28 宇宙より船長の声冬の月 高 越  
冬の夜空に日本人船長の声が、宇宙を飛び交うている景を
  上手く詠んでいます。日本人の誇りです
33 野路菊の岬に甘きかほりかな 高 越  
  潮風にゆれている野路菊のそばに座りたくなく景の切り取りと
  切字の扱いが上手く入っていと思います
   
番 号 入 選 20 句 俳 号  
銀杏散る歩道埋めたる黄の絨毯 媛 香  
山峡に霧の流れに水の音 石の花  
波しづか三つ四つ五つ星月夜 そらまめ  
念々の山のあなたの零余子飯 吾亦紅  
新雪の石鎚山に夕日映え  
椎の実や香しきそに母の顔 旅 風  
13 天高く負けじと伸びるクレーン車 菜の花  
16 冬薔薇歓喜ひといろ北の国 旅 風  
18 玉葱の苗植え終えて日の暮るる 浩 風  
22 石鎚山(いしづち)に初冠雪やペダル踏む 高 越  
25 トンネルを出でて目の入る櫨紅葉 哲 朗  
31 はらはらと紅葉舞い散る嵯峨野道 菜の花  
32 雲流れ紅葉遙かに石鎚山 石の花  
35 ひつじ田や雀群がりひと休み そらまめ  
36 食パンの蕩けるチーズ冬厨 媛 香  
 
第 107 回 披 講
  お節介マンのちょっと一言 
   今回は(吾亦紅)さんの披講と、ちょっと気になる句をご紹介します
     7.遠回り桜紅葉に会いたくて
        毎年、会いにゆく桜、もちろん花の頃も、 
        きっと、紅葉しているはずと逸る気持を胸にーーー。
        作者の姿が見えるようです。
    10.立冬や寿司屋に流る古典ジャズ
        着眼が新鮮ですね。店主の趣味のよさに惹かれます。
        そんな寿司屋一度のぞいてみたいものです。
        作者の姿が見えるようです。
        上五を強く、や切れにするときは、下五は軽くながす方が句に 
        広がりが出るそうです。
  <立冬や寿司屋に古典ジャズながれ>
        とするのも一案かと。  
     22.石鎚山(いしづち)に初冠雪やペダル踏む
        石鎚山に初冠雪はよく目にしますが、ペタル踏むという
         清々しさに風まで感じられて、とてもいい句だと思います。
     24.紅葉を露天風呂より独り占め
        時折湯をながす音、湯桶を置く響き、風情がありますね。
        紅葉を味わいながらなんて、うらやましいこと。
     30.ラジオから昼のいこいや蕎麦の花
        一作業終えていっぷく、傍らのラジオから、なつかしい
        昼のいこいの音楽。一面に広がる蕎麦の花、
         のどかでいい景色ですね。
     33.野路菊の岬に甘きかほりかな
       ある晴れた日の岬風景があまねくつたわってきます。
         まるで自分が、そこに佇んでいるような気さえして、
        野路菊の香りが、ただよって来るようです。