番 号 | 特 選 5 句 | 俳 号 | |
12 | 夏日暮れ浜辺を駆ける子等の影 | 峰 生 | |
(夏日暮れ)を (夏夕べ)としたいですね。 | |||
大きい景色に子供たちの影としたところが手柄です。 | |||
15 |
コスモスやそよふく風に身を委ね | 旅 風 | |
コスモスの揺れに静かな一人だけの至福のとき | |||
一句を思案しているのでしょうか。 | |||
19 | 放牧の仔牛のんびり雲の峰 | 哲 朗 | |
四国カルストでしょうか。下界の暑さをよそに、 | |||
子牛たちがのんびりと昼寝など。此方まで涼しさが | |||
伝わってくるようです。 | |||
24 | 霧の湿原ハンカイ草の黄滲む | 高 越 | |
着眼と内容が良いので5選にいただきましたが、 | |||
角川の季寄せに、ハンカイ草は夏の季語とあり | |||
ます。(霧)は秋の季語なので、 | |||
雨後の湿原ハンカイ草の黄を灯す | |||
で、いいと思います。 | |||
29 | 一筆入魂飛び散りし墨と汗 | 高 越 | |
一読(書道パフォーマンス甲子園)の熱い戦い | |||
を思い浮かべました。若者たちの、勢いのある | |||
筆使いは、季語の飛び散る汗に象徴され、躍動 | |||
感のある佳句です。 | |||
番 号 | 入 選 15 句 | 俳 号 | |
1 | 横町の線香花火と笑顔咲く | 泉 | |
3 | 稲妻や山の峰々映し出す | 石の花 | |
5 | 無花果の捥ぐ手やさしく籠に入れ | 哲 郎 | |
8 | 法師蝉早やもの想う里の道 | 峰 生 | |
9 | 朝の勤行蓮池に開花音 | 高 越 | |
10 | 風穴や冷気かすみていと涼し | そらまめ | |
13 | 三段に落ちゆく滝や日直りぬ | 浩 風 | |
14 | 狭き庭金柑の花香り満つ | 扇 | |
18 | 守宮来る夜ごと夜ごとに厨窓 | 媛 香 | |
20 | 鉱山の学びし校舎霧の中 | 浩 風 | |
22 | ローカル線波打ち揺れる青田風 | 媛 香 | |
23 | 声高く般若心経蝉続く | 扇 | |
28 | 大夕焼(ゆやけ)ねぐらに帰る烏たち | そらまめ | |
32 | 夕焼けに染まりて燕ひるがえり | そらまめ | |
33 | 力尽き流れる涙夏終る | 旅 風 | |
吾 亦 紅 様 の コメント |
○ 9番の 朝の勤行蓮池に開花音 |
一句に対象が二つあります。(朝の勤行)・(蓮池の開花音)どちらも |
良い句材ですが、主題は一つにしぼりたいものです。勤行の声と |
静寂のなかの開花音を、同時に詠み込んでしまうと、焦点が |
定まりません。 |
○ 23番の 声高く般若心経蝉続く |
この句も対象が二つですが、この場合は、般若心経と |
蝉声の響き合う場を詠んだおもしろさがあります。漢字の羅列も |
いいと思います。ただ残念なのは(蝉続く)です。この表現を何とか |
したいですね。 |
○ 32番の 夕焼けに染まりて燕ひるがえり |
きれいな句ですが、一句に(夕焼け)夏の季語 |
(燕)春の季語が入っています。季節が異なるものは、 |
よほどでない限り避けたいものです。 |
例えば 夏つばめ茜に染まりひるがえる |
としてみてはいかがでしょうか。 |
○ 30番の 小舟浮き夏の港の赤い屋根 |
一句に具材が多い。テーマは一つが理想です。 |
例えば 小舟浮かせて一湾の夏惜しむ |
としてみました。 |
赤い屋根は無くても、情景は読み手に伝えわると思います。 |