| 吾 亦 紅 様 の コメント |
| 11月21日は石田波郷の忌日。 借命忌 |
| 松山に生まれ、松山中学時代、同級生の中富正三(俳優・大友 |
| 柳太郎)のすすめで俳句を始める。若くして脚光を浴び、 |
| 昭和44年、56歳で没とされている。 |
| 波郷の忌近づき石蕗は黄を競ふ 皆川盤水 |
| 波郷忌と思ふ水かげろふの中 篠崎圭介 |
| 波郷忌や富士玲瓏の道行きて 水原秋桜子 |
| 今月はたくさん良い句がありうれしく思いました。俳句は、 |
| あれもこれもでなく、あれかこれかを選択をして、情(思い) |
| を抑えて読み手に、いろいろと想像を膨らませてもらえる |
| ような句がよいとされています。紅葉もそろそろ終わりを |
| 告げようとしていますが、初冬への移ろいの中に身をおいて |
| 見てください。きっといい句が生まれます。 |

| 番 号 | 特 選 5 句 | 俳 号 | |
| 1 | 幼子とパズル競いし冬の居間 | 扇 | |
| 時折わらい声が聞こえてくるような微笑ましい一句。 | |||
| 季語もいいですね。「冬の居間」の温かさが感じら | |||
| れて、まさに幸せを絵に描いたようです。 | |||
| 2 | 道の辺にくわりんころがる夕べなる | 浩 風 | |
| 熟れ落ちたのか、風で落ちたのか、どちらにしても | |||
| 晩秋の景としてころがっているのが他ならぬいびつ | |||
| な「かりんの実」であるのがいい。 | |||
| 8 | 白秋やかまぼこ板の絵ゆたか | 石の花 | |
| ちいさなかまぼこ板に描かれた絵は、どれも心の | |||
| こもった表現力のゆたかな作品ばかりで感心させら | |||
| ます。季語の「白秋や」の措辞に、作者のセンスの | |||
| よろしさが感じられます。 | |||
| 17 | 立冬の声落とし飛ぶ烏かな | 哲 朗 | |
| 冬は食餌を求めて家近くに現れますが、烏も生きる | |||
| ために必死なのでしょう。冬も深まると鳴き声も、 | |||
| 切なく感じることがあります。 | |||
| 季語の「立冬」が効いています。 | |||
| 23 | 魚市場糶終わりたる暮の秋 | 浩 風 | |
| ついさっきまでの活気の余韻が漂っている市場の | |||
| 様子が伝わって来るようです。 | |||
| 季語「暮の秋」が抜群。 | |||
| 番 号 | 入 選 15 句 | 俳 号 | |
| 5 | 夕暮れへ過疎の家並みやおばな路 | 峰 生 | |
| (家並み)は(家並)でいい。 | |||
| 6 | 散歩みち影をふみふみ落ち葉踏む | 泉 | |
| 7 | 急ぎ逝く女流俳人秋惜しむ | 媛 香 | |
| 10 | 秋深む幼な等と行く烏鷺の道 | 旅 風 | |
| 11 | 主なき庭にかえでの紅葉かな | 浩 風 | |
| 13 | 紅葉晴れそびえる奇岩古岩屋 | 哲 朗 | |
| 14 | くちづけた柿一瞬に里の味 | 峰 生 | |
| 19 | 三歳の晴れ姿なり千歳飴 | 泉 | |
| 22 | 夢うつつ花園を行く秋日和 | 旅 風 | |
| 24 | 二の丸へ見上ぐ石垣蔦紅葉 | 高 越 | |
| 26 | 地蔵さん風の落葉に頬打たれ | 哲 朗 | |
| 27 | 紫電改つわものどもを偲ぶ秋 | 石の花 | |
| 29 | 暮早しLED(リード)の灯(あかし)藁屋にも | 高 越 | |
| 30 | 海青く小舟ゆらゆら石蕗の花 | 泉 | |
| 32 | 秋澄みし旧友(とも)と集ふや淡路旅 | 菜の花 | |