互 選 句
平成 26年11月 1日~平成 26年11月20日 投句分
 吾 亦 紅 様 の コメント
11月21日は石田波郷の忌日。  借命忌 
 松山に生まれ、松山中学時代、同級生の中富正三(俳優・大友
 柳太郎)のすすめで俳句を始める。若くして脚光を浴び、
 昭和44年、56歳で没とされている。
 波郷の忌近づき石蕗は黄を競ふ   皆川盤水 
 波郷忌と思ふ水かげろふの中    篠崎圭介 
 波郷忌や富士玲瓏の道行きて   水原秋桜子 
 
今月はたくさん良い句がありうれしく思いました。俳句は、
 あれもこれもでなく、あれかこれかを選択をして、情(思い)
 を抑えて読み手に、いろいろと想像を膨らませてもらえる 
 ような句がよいとされています。紅葉もそろそろ終わりを  
 告げようとしていますが、初冬への移ろいの中に身をおいて
 見てください。きっといい句が生まれます。          
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第 119 回 披 講
番 号 特 選 5 句 俳 号  
幼子とパズル競いし冬の居間  
   時折わらい声が聞こえてくるような微笑ましい一句。
     季語もいいですね。「冬の居間」の温かさが感じら 
     れて、まさに幸せを絵に描いたようです。 
2 道の辺にくわりんころがる夕べなる 浩 風
   熟れ落ちたのか、風で落ちたのか、どちらにしても
      晩秋の景としてころがっているのが他ならぬいびつ
     な「かりんの実」であるのがいい。
白秋やかまぼこ板の絵ゆたか 石の花
   ちいさなかまぼこ板に描かれた絵は、どれも心の
     こもった表現力のゆたかな作品ばかりで感心させら
     ます。季語の「白秋や」の措辞に、作者のセンスの
     よろしさが感じられます。
17 立冬の声落とし飛ぶ烏かな 哲 朗  
   冬は食餌を求めて家近くに現れますが、烏も生きる
     ために必死なのでしょう。冬も深まると鳴き声も、 
     切なく感じることがあります。 
     季語の「立冬」が効いています。 
23 魚市場糶終わりたる暮の秋 浩 風  
     ついさっきまでの活気の余韻が漂っている市場の
     様子が伝わって来るようです。
     季語「暮の秋」が抜群。
番 号 入 選 15 句 俳 号  
夕暮れへ過疎の家並みやおばな路 峰 生  
      (家並み)は(家並)でいい。    
散歩みち影をふみふみ落ち葉踏む  
急ぎ逝く女流俳人秋惜しむ 媛 香  
10 秋深む幼な等と行く烏鷺の道 旅 風  
11 主なき庭にかえでの紅葉かな 浩 風  
13 紅葉晴れそびえる奇岩古岩屋 哲 朗  
14 くちづけた柿一瞬に里の味 峰 生  
19 三歳の晴れ姿なり千歳飴  
22 夢うつつ花園を行く秋日和 旅 風  
24 二の丸へ見上ぐ石垣蔦紅葉 高 越  
26 地蔵さん風の落葉に頬打たれ 哲 朗  
27 紫電改つわものどもを偲ぶ秋 石の花  
29 暮早しLED(リード)の灯(あかし)藁屋にも 高 越  
30 海青く小舟ゆらゆら石蕗の花  
32 秋澄みし旧友(とも)と集ふや淡路旅 菜の花